こんにちは!セイジュン@80年代少年(@39Seijun)です。80年代あいうえお辞典、今回は「へ」の項。「へ」といえば、それはもう1989年1月8日から始まる「平成」でしょう。
1989年1月8日。
前日1月7日早朝、昭和天皇が崩御され、その日の午後には新元号「平成」と発表されました。
どういう切り口で80年代終盤の、昭和から平成への改元を振り返ろうかなと思案熟考、この手で行きます。
1989年1月7日:放映されなかったラテ欄
昭和天皇が崩御されたのが1月7日の早朝。
未明から重篤という情報が入り、政府・宮内庁とも慌ただしい状況となってから正式に崩御の発表がなされたのは、午前中の早い時間だったと記憶しています。
その段階では、各家庭に1月7日の新聞が投函されておりました。ちなみに1989年1月7日は土曜日です。お正月の飾りも取ろうかという頃、そしてテレビでは新春特番も終わり通常放送に戻ろうかという頃でした。
1月7日の新聞を見てみましょう。図書館で当時の新聞縮小版を確認してきました。
ゴールデンタイム、19:00からこんなラインナップでした。以降、敬称略で失礼します。
19:00~19:20 7時のニュース
19:20~20:00 あなたならどうする(出演:糸井重里、新井満、若村真由美)
20:00~21:00 土曜ドラマ「十九歳」(出演:三浦友和、織田裕二、西郷輝彦、佐藤慶、吉村実子、長谷川真弓、橋爪功、マッハ文朱)
◆NHK教育
19:00~20:00 N響アワー
20:00~20:45 五木寛之美術散歩
◆日本テレビ
19:00~20:00 土曜スーパーチャンネル「二代目引田天功大脱出」
◆TBS
19:00~19:30 まんが日本昔ばなし
19:30~20:00 クイズダービー
20:00~21:00 加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ
◆フジテレビ
19:00~21:00 新春ひょうきんスペシャル
◆テレビ朝日
19:00~21:00 暴れん坊将軍Ⅲ新春スペシャル(出演:松平健、北島三郎、賀来千香子、船越英二 他)
◆テレビ東京
19:00~19:30 特選・ぶらり旅
19:30~21:00 土曜スペシャル「89絶好調!プロ野球こだわりの珍プレー好プレークラブ生放送(出演:中畑清、秋山幸二 他)
いやあ、すごいラインナップです。
まずはNHK。7時のニュース(当時は20分でしたね)のあと、情報バラエティ系の番組「あなたならどうする」です。出演、糸井重里さん。NHKへの出演は、1982年4月から1985年3月まで「YOU」の司会をされていました。
そして、新井満さん。奇しくも昨年(2021年)12月に亡くなりました。88年に芥川賞を受賞されているので作家として出演ですね。その後「千の風になって」を作られるなどマルチな才人でした。
20:00からは土曜ドラマ「十九歳」。
問題を起こし、高校を中退してしまった村上大介(織田裕二)を心配した父親の市造(佐藤慶)は、そんな生徒を受け入れている高校を見つけ大介に奨める。父に奨められた一の瀬高校ではバイク通学が認められていることを知った大介は転入を果たすが、そこには大介のもっとも嫌う押さえつけ一辺倒の教師大野(橋爪功)がいた。学校は自宅通学者以外のバイク通学は認めなかったため、寮通学でバイク通学が出来ない大介は反発し、大野に目をつけられる。そんな大介に教師の香月(三浦友和)は体当たりで会話しようとする。バイクが縁で大介が信頼しようとするバイク屋店主の多田(西郷輝彦)は、パリ・ダカールラリーにサポート隊として参加した経験者だった。一方、大阪から来た編入生の国広恵子(長谷川真弓)は淋しげな大介に興味を持ち始める。~wikiより~
主人公の織田裕二が19才という設定。
教師が三浦友和。父親が佐藤慶。30年以上前ですから、今では織田さんが友和さん世代、友和さんが佐藤慶さんの往時の年齢に、という時間が経過しています。上記のあらすじ以外にもマッハ文朱さん、エンケンこと遠藤憲一さんらが出演してます。
ちなみに織田さんは、この2年後に「東京ラブストーリー」、4年後に「振り返れば奴がいる」、そして8年後に「踊る大走査線」です。
教育テレビ。現在ではEーテレですね。NHK交響楽団によるクラシック音楽番組で1980年から2012年まで32年にわたり放送されていた長寿番組です。その後、「ららら♪クラシック」となっていくものですね。
そのあとに、五木寛之先生の美術散歩と続きます。「エルミタージュの至宝」の回。五木先生は今でもお元気で執筆をなさっています。この頃は小説もエッセイも旺盛に書かれていて、私も「青春の門」(講談社文庫の青い背表紙)を読んだり、前年に出た「雨の日には車をみがいて」といった都会的な短編集を読んだりしていました。
さて、日テレ。正月7日の土曜特番に二代目・引田天功です。我々80年代少年たちにとっては、引田天功といえば初代です。1979年大晦日に死去。享年45歳でした。
そして二代目を継いだのがプリンセス・テンコーです。
この特番の副題がすごいです。
古代人の夢を実現!空飛ぶ人間砲弾・二代目引田天功大脱出!
続いてTBS。ここは正月特番も終わり、通常運転に戻っていますね。19時台がまんが日本昔ばなしにクイズダービー。20時になり「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」です。
加トちゃんケンちゃんは、「8時だョ!全員集合」の終了の後、1986年から放送開始。この後、1992年まで続きます。
この時代、「ひょうきん族」が優勢なのですが、この加トちゃんケンちゃんから生まれた視聴者投稿の笑えるビデオ作品を紹介する「おもしろビデオコーナー」は、今でこそ当たり前の企画ですが、全世界でこれが初だったとのことです。
米プロデューサーが同番組を見て、TBSから「おもしろビデオコーナー」の企画をライセンスし開始したアメリカ版ホームビデオ紹介番組『アメリカズ・ファニエスト・ホームビデオ(英語版)』は、1989年の放送開始以来大ヒット番組となり、2009年には地上波ネットワークABCのバラエティ番組史上最長寿番組となった。2007年には米プロデューサーがハリウッド殿堂入りし、2009年には番組がスミソニアン博物館殿堂入りを果たしている。この功績により、2013年4月フランス・カンヌで開かれた国際番組見本市MIPTVの主催者に、世界のテレビを変えた50作品の1つとして日本作品から「鉄腕アトム」「UFOロボ グレンダイザー」「ドラゴンボールGT」と並び、1986年を代表する作品として番組中の「おもしろビデオコーナー」が選ばれた。~wikiより~
そして、フジテレビ。新春ひょうきんスペシャルです。
オレたちひょうきん族は、1981年5月から放送開始、1989年10月で終了になります。まさに80年代の元気のいいフジテレビを支えた土曜の夜のバラエティ番組でした。
サブタイトルが、「正月サスペンス・白雪姫とオバラ座の怪人”89版音楽劇」とあります。「オバラ」が謎です。追跡調査を行います。
テレビ朝日は時代劇です。80年代は確かにまだ地上波ゴールデンで1時間ものの時代劇ドラマが各チャンネルでありました。
こちら暴れん坊将軍!ご存知、松平健さんです。まさかそれから30年以上の時が経って、紅白でマツケンサンバを唄い踊っているとは誰も想像していなかったのではないでしょうか。
そしてテレ東。19:30からのスペシャルは珍プレー・好プレー。本家フジテレビのプロ野球バラエティを上手くパクっています。
出演者欄には中畑清と秋山幸二の名前があります。中畑清は89年シーズンをもって引退ですので、その前年です。
他方、秋山幸二が所属する西武は、このシーズン、僅差でパリーグを制して日本シリーズでも中日を4勝1敗で下して日本一になりました。
秋山自身も初の打率3割を記録し、打率.301、31本塁打、31盗塁で、日本プロ野球史上5人目のトリプルスリーを達成したシーズンです。
とはいえ、この年は近鉄が、ロッテとのダブルヘッダー第2戦を引き分けてペナントレースを逃した「10.19」の年として記憶に残っています、余談ですが。
さて、このような番組が流されるはずであった昭和64年、1989年1月7日のテレビ。ほとんどが差し替えられて、昭和天皇崩御の特番になりました。
では、令和の初日はどうだったのでしょうか。
1989年1月8日:すべてが特番に。もしも平時だったら
平成元年1989年1月8日。日曜日にあたります。
この日の朝刊のラテ欄を見てみると、当然ながら、(教育テレビ以外は)すべて特別編成。各チャンネルとも昭和を総括し、昭和天皇を忍び、そして新しい平成の世の中にむけて新天皇を語っています。
ここでは、もしも1月8日がごくごく普通の日曜であったら、として翌週1月15日のラテ欄を少しだけ見てみましょう。
NHK。夕方から大相撲初場所7日めが行われています。本来は1月7日が初日だったのですが、昭和天皇崩御のため一日順延。通常よりも一日遅れで二週目の日曜が「7日め」となっています。ちなみのこの初場所の優勝は北勝海。現在の八角親方・理事長です。
そして、20:00からは大河ドラマ。「春日局」です。
橋田寿賀子さん脚本。主演は大原麗子さん。出演欄には、大原さんの他に、佐久間良子、丹波哲郎、五木ひろし、江守徹、藤岡琢也、大塚志郎、吉幾三、ガッツ石松、織本順吉(敬称略)の名前があります。ちなみにこの日(1月15日)は第2回「天下をとる」。本能寺の変を扱っています。織田信長が藤岡弘さん、明智光秀を五木ひろしさんが演じています。すばらしいですね。
日本テレビの20:00からは天才・たけし元気が出るテレビ!!
「元気が出るテレビ」は1985年4月にスタート。絶好調の頃です。放送開始当初はショートコントコーナーなどもあったのですが、この頃から視聴者も出演するVTRが増えてきて後には「ドキュメントバラエティ」の元祖となる番組でした。
86年の曲ではありますが、たけし&ひろきの「 I'LL BE BACK AGAIN」、良かったよなあ。
TBSの20:00からは新世界紀行「極北の大河ユーコン」。まだこういう雄大な番組が民放かつゴールデンで流れていた時代ですね~。
フジテレビが「なんてったって好奇心」。覚えていません、スイマセン。情報番組系ですね。同枠で「ダウンタウンのごっつええ感じ」が始まるのはあと2年弱。この番組の後番組のさらに次、ということです。
テレビ朝日は「バンコク反乱支社」ドラマです。これも分からないです、スイマセン。出演が、いかりや長介、伊藤蘭、古尾谷雅人、沖直美、小倉一郎他。
そして、テレ東が日曜ビッグスペシャル。「これが超一流旅館の特別室だ」でした。
こうやって見ると、昭和のラスト・平成の初めから、令和の今日に至るまで、同じテイスト・スタイルでやっているのはNHKの大河ドラマとテレ東のビッグスペシャル→現在のビッグバラエティではないでしょうか、なるほどです。
さて、これは1989年(平成元年)1月15日。
もう一度時計を1週間ほど巻き戻して1月8日(日)。
この日、東京では40日ぶりに雨が降りました。私の記憶でも、平成になった日に雨が降ったなと覚えていますが、それが40日ぶりとは知りませんでした。
その日、昭和天皇の喪に服し、かたや新しい平成の世にある種の期待を感じていました。西暦で言えば1989年1月のこと。本稿を書いている2022年1月から33年前です。本当に時の経つのが早いと感じる、当時は大学生・現在はアラフィフのセイジュンでした。
今回、80年代少年、「へ」の項は、「平成」の始まりの日、そしてその前夜、「昭和」の終わりの日についてツラツラまとめました。
次回、80年代あいうえお辞典、「ほ」の項です。