ひ:ビューティフル・ドリーマー【びゅーてぃふる・どりーまー】

80年代

こんにちは!セイジュン@80年代少年(@39Seijun)です。

80年代あいうえお辞典、今回は「ひ」の項。

84年2月公開のアニメ映画「ビューティフル・ドリーマー」です。

 

冒頭の写真、我が家にあるDVDを撮りました。「うる星やつら2」

サブタイトルが「ビューティフル・ドリーマー」です。そう、今日的に言えば「劇場版 うる星やつら」といえますね。

原作はモチロン高橋留美子さん。そして監督は、後にアニメ「機動警察パトレイバー」、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」を世に出す押井守さんでした。

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うる星やつら

 

まずは、「うる星やつら」から。

説明の必要がないほど、日本漫画史を紐解く際には必ず語られる一作ですが念のため。

浮気者の高校生・諸星あたると、彼を愛する一途な宇宙人美少女・ラムちゃんを中心に架空の町、友引町や宇宙や異次元などを舞台にしたSFラブコメディ。

                           ~wikiより

 

1980年代当時でいえば、高橋留美子さんという(今ではポリコレ的に不快な表現かもしれませんが)”女流漫画家”による週刊少年漫画誌(少年サンデー)への掲載自体が異例のものでした。しかも初期発表当時1978年はまだ大学生だったと聞きます。

当初は不定期連載でしたが、1980年に少年サンデーで正式に連載開始。あだち充さんの「タッチ」(1981年連載開始)とともに、1980年代半ば、少年サンデーのラブコメブームを巻き起こしました。

 

実際、当時小学生高学年から中学になろうとしていた僕らの中には、ちょっとジャンプが子供っぽく、チャンピオンが古臭く、マガジンが硬派すぎて、といってサンデーが好きという友人もいました。また、女子もサンデー好きだったなあ。

 

さて、「うる星やつら」に話を戻します。「浮気者の高校生・諸星あたると、彼を愛する一途な宇宙人美少女・ラムを中心に架空の町、友引町や宇宙や異次元などを舞台にしたSFラブコメディ」。

ラムちゃんの愛らしさが超絶的で、あたるのバカバカしさも憎めず。

 

他の登場人物(?)たちもそれぞれが魅力的。

テンちゃん、面堂、しのぶちゃん、竜之介、サクラさん。そして何よりチェリー。もう、彼ら彼女らが漫画のなかで勝手に動き出しているのを毎話楽しみに読んでいました。

 

テレビアニメ版が始まったのが、1981年。

フジテレビで水曜19:30からの30分でした。ちなみに、19時からが「Dr.スランプ アラレちゃん」で、ジャンプ→サンデーの人気NO1リレーで、今考えても節操はないですが「楽しくなければテレビじゃない」のフジテレビの面目躍如でした。

「うる星やつら」の持つ、文字通り「動的な」魅力がアニメとの相性悪かろうはずなく、漫画に負けず劣らずアニメも人気がありました。加えて、平野文さんによるラムちゃんの愛らしい声、そしてラムちゃんが空を飛ぶときの独特の電子音。

さらには「ラムのラブソング」という絶品のオープニングソング(あんまりソワソワしないで~)。全てが奇跡的に完璧でした。

劇場版アニメ その2 ビューティフル・ドリーマー

 

アニメはテレビ版から更に劇場版へと拡張し、第一作「うる星やつら オンリー・ユー」の公開が1983年2月。そして、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」がその1年後の1984年2月に公開されます。

いずれもテレビ版からの延長として押井監督作品ですが、世の中ではこの「ビューティフル・ドリーマー」が押井色がより全面に出ており、また「キネマ旬報」で、読者選出ベスト・テンで第7位(邦画)に選ばれるなど作品の評価は高かったと言います。

 

物語の前半戦は文化祭前夜が舞台。学校に泊まり込んでへとへとで準備をして眠りにつくと、翌朝目覚めたはずがまた文化祭前夜。いわゆるタイムリープものの様相です。中盤から友引町の一角のみを残して廃墟と化した世界観の中で、夏休みを謳歌するラム・あたる達。そしてこのタイムリープと、ある種の理想郷が誰かの夢であり、その夢人は誰かと話が続きます。

 

ドタバタラブコメディにSFの要素を強く取り入れて、さらに劇場版ならではのダイナミックな絵柄に引き込まれます。

驚くのが上映時間がわずか98分であること。当時、東宝系ではアニメと実写(主にアイドルもの)の二本立てでの興行が一般化されており、本作も98分という今ではかなり短い上映時間になっています。その中に、押井監督の世界観がギューッと濃縮されている感じです。

 

ちなみに、”押井色”、”押井監督の世界観”と連発してしまいましたが、やはり本作は高橋留美子さんの「うる星やつら」のプラットフォームを借りた押井監督の「ビューティフル・ドリーマー」だという評価が大勢のようです。

 

高橋留美子さんも「押井さんの作品ですから」と言ったとか言わなかったとか。

 

その後の高橋留美子さん・押井監督。そしてアノ時のもう一本

さて、高橋留美子さんは、「うる星やつら」と並行してビックコミック・スピリッツで「めぞん一刻」を連載。

いずれも80年代後半で区切りをつけると、90年代にかけて「らんま1/2」を連載。

その後も、シリアス路線の「犬夜叉」、コメディ要素に回帰した「境界のRINNE」と発表を続けています。

 

押井監督といえば、「うる星やつら」以降、「機動警察パトレイバー」「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のヒット作を世に送り出し、その後も「イノセンス」「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」といったアニメ映画作品を発表。

実写映画も監督するなど、世界的な評価を得ています。

さて、話を「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の公開時、1984年に戻します。当時、東宝系ではアニメと実写(アイドルもの)の併映が多かったと書きました。

 

で、「ビューティフル・ドリーマー」の併映が、吉川晃司主演「すかんぴんウォーク」(大森一樹監督)でした。こちらも当時劇場で見ました。よかったな~。

冒頭、東京湾のむこうから泳いでくる吉川晃司。

陸上にあがって「どっからの来たんだ」の声に「広島!」と明るく答えていました。

まさに吉川さんをイメージさせる主人公”民川裕司”が成長していく様が描かれていました。共演の故・山田辰夫さんがいい味出しててねえ。

中学から高校にかけて、映画にハマっていて邦画では若き監督集団「ディレクターズ・カンパニー」(通称ディレカン)の映画を見まくっていましたが、その中でも大森監督のアイドル作品はその枠からはみ出していてカッコよかったです。

 

と話がそれてしまいましたが、80年代あいうえお辞典「ひ」の項、「ビューティフル・ドリーマー」でした。次回は「ふ」の項です。また是非お立ち寄りください。