え:エリマキトカゲ【えりまきとかげ】

80年代

エリマキトカゲ。英語で Ruffed lizard 文字通り「襟のついたトカゲ」

 

オーストラリア北部、パプアニューギニア(ニューギニア島南部)に生息する爬虫綱有鱗目アガマ科エリマキトカゲ属に分類されるトカゲが、なぜ80年代と関係があるのでしょうか?

 

80年代を生き抜いてきた我々にはピンとくるものがあります。

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エリマキトカゲの生態と80年代の関連性

 

まずは、エリマキトカゲについて、まとめます。

◆形態
全長60-90センチメートル。尾が全長の2/3を占める。頸部に舌骨で支えられた襞襟状の皮膚飾りがある。
◆生態
森林に生息する。樹上棲だが採食などのために地表に降りることがあり、地表では後肢だけで直立し走行する。危険を感じると襟状の皮膚を広げて威嚇する。主に昆虫を食べる。
繁殖形態は卵生。飼育下では2-3月に1回に4-13個の卵を年に2回に分けて産んだ例がある。卵は80-85日で孵化する。
            以上 Wikipedia エリマキトカゲの項より引用

さて、このエリマキトカゲと80年代に何の関係性があるのでしょうか。

私は、なぜエリマキトカゲを【追憶の80年代】のカテゴリで論じているのでしょうか。

 

三菱自動車「ミラージュ」のCM

 

答えは、コチラにあります。

1984年に放送された三菱自動車 「ミラージュ」のCMです。

 

三菱自動車「ミラージュ」、このCM当時で2代目でした。

初代は1978年に発売、この2代目はCMの前年1983年に発売されたとのことです。

エリマキを広げ、後ろ足二本で走るエリマキトカゲの姿が使われたCMのおかげで、2代目ミラージュの販売台数も急上昇、と言われています。

 

もちろん、一気にエリマキトカゲブームもやってきます。例えば、コチラ。

 

かまやつひろしさんによる『音頭エリマキトカゲの真実』です。

ぜひ、動画みてくだい。

ライナーノーツのイラスト(音頭の踊り方)が漫画家の黒鉄 ヒロシさん、B面の「襟巻と影」の作詞が糸井重里さんという豪華布陣。

こういうシャレが許された80年代中盤でした。

ちなみに、もともと、ミラージュのコピーライティング、

「道は、星の数ほどあります。
のびのびと、好きな道を行きましょうよ。
こんどのMIRAGEで、ね」。

が糸井重里さんの手によるものなんですね。

80年代の自動車産業

 

さて、エリマキトカゲから、自動車のほうに論点を移しましょう。

米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏による著書「ジャパン アズ ナンバーワン」が日本で出版されたのが1979年。

そして、この1984年に「ジャパン アズ ナンバーワン再考」というアップデート版が出ています。

いみじくも、初代ミラージュと二代目ミラージュ発売のそれぞれ一年後なのですね。

 

それまでは、アメリカを代表する産業であった自動車分野を、トヨタ・ホンダ・日産・そして三菱らが追いつき、追い抜いていった時代。

日本はバブル前夜の経済成長を謳歌し、その裏返しで米国はイライラを募らせていた時代でです。

 

ジャパン アズ ナンバーワンからジャパンバッシングへ

 

こちらは、UAW(全米自動車労働組合)の労働者たちが、日本車をハンマーでたたき壊す映像です。

おそらく1980年代半ばの映像と思われますが、デトロイト(アメリカ自動車産業の中心地)では「日本車のせいで自分たちの職が奪われた」として、このようなパフォーマンスが行われました。

 

祇園精舎の鐘の声

 

それから40年が経とうとしています。

自動車市場自体が、欧米からアジア・特に中国へと大きくシフトしました。

米国自動車は70年代までの輝きを相変わらず取り戻せていませんが、日本車もかつて世界を席巻した勢いは今一つ。

もちろん、トヨタの生産台数は世界屈指でありますが、欧州車・韓国車など群雄割拠の時代です。

というか、自動車業界の再編再編によって、そもそも単体企業・単一国家ではなく、連合軍の様相です。

 

そして、ハイブリッドから電気自動車、そして一部では水素自動車の実用化といった技術の進歩。

さらにはグーグル・テスラといったIT企業側からの自動車産業への参入など、もう何でもありのバトルロイヤル状態です。

後日譚

 

最後に後日譚。

ミラージュは、現在6台目(2012年から)、タイからの逆輸入車だそうです。

そして、2020年現在のエリマキトカゲ。

静岡県賀茂郡にあります、その名もiZOOという体験型動物園で会えるそうです。

 

では、次回は「お」の項で!