ITストラテジスト・午後Ⅱ対策:実際の問題を解く!(R4問2)

ITストラテジスト
セイジュン
セイジュン

ITストラテジスト試験午後Ⅱ(論文)対策です。今回は2022年(令和4)開催の試験問題を題材にしていきます。今回は問2。「基幹システムの再構築における開発の優先順位付け」に関する問題です。

こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。

午後2対策の「論文の骨組み、プロット作り」、2022年(令和4)の問題を題材にとって一緒に考えてみましょう。今回は問2で「開発の優先順位付け」に関する問題です。

論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。また、2020年・2021年のプロットつくりはこちらにまとめております。

 

スポンサーリンク

令和4年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問2)

今回の例題は、令和4年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題の問2を使います。こちらIPAサイトから引用。

タイトルは「基幹システムの再構築における開発の優先順位付けについて」です。

問1が、商品・サービス企画をテーマにした事業企画・経営サイドによったものだったのに対し、(タイトルを見ただけですが)思いっきりITより、プロマネのカウンターとしてのITストラテジストの役割を問うているというのが想像できます。

問1の分析の中で、「ITストラテジスト(試験)はSierやITベンダーよりも事業会社のIT部門の方のほうがしっくりくる」と書きましたが、前言撤回ですね。

論文のお題から見ても、問1~3の中でバランスよく、Sier・ITベンダー向きのもの、事業会社のIT部門向きのものを配置してくれています。ということは、試験開始とともに受験者はタイトルをチラ見して、自分に向いた設問をいち早く取捨選択する必要がありますね。ここは試験時間の使い方のところで触れました(また近々、記事もブラッシュアップしますね)。

では、いつも通り本文の読み解きは後ほどとして、まずは設問ア~ウから論文のプロットを組み立ててみましょう。

まずは、設問ア~ウを以下、抜粋します。

設問ア あなたが携わった基幹システムの再構築の計画策定について、企業の事業概要、背景となった事業環境の変化、基幹システムの概要を、事業特性とともに800字以内で延べよ。
設問イ 設問アで述べた基幹システムについて、あなたはそれぞれのサブシステムを、どのような優先順位で再構築することとしたか。特に重要と考えて考慮したこととその内容、あなたが工夫したこととともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた優先順位について、経営層にどのような説明と行い、どのように評価されたか。経営層の評価を受けて改善したこととともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

この設問から、論文の骨組み(プロット)を導いてみましょう。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。

以下、です。

1.私が携わった基幹システムの再構築の計画策定・・・設問ア(800字以内の指示に対して、750字を想定)
1.1.事業概要(250字)
1.2.背景にある顧客満足度向上を要する課題(250字)
1.3.事業特性(250字)

2.再構築の優先順位決め・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)
2.1.基幹システムのサブシステムの構成(400字)
2.2.サブシステム単位の優先順位設定の考慮点(400字)
2.3.設定した優先順位の内容と設定時の工夫点(400字)
3.再構築計画における優先順位に関する経営層とのコミュニケーション・・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、800字)
3.1.経営層への説明と評価(400字)
3.2.経営層から受けた評価と改善した内容(400字)

どうでしょう。おおよそのバランス、こんな感じではないでしょうか。

先ほど述べました通り、SierやITベンダ、また事業法人のIT部門の方でも、ガチで基幹システムの再構築に携わった方でしたら、過去の経験から筆が進む問題かと思います。

では、プロットの肉付けの前に、2点ほど注意点。

◆ITストラテジストとしての役割を書くこと

一見、筆が進むように見える問題の時にこそ、注意をして置きたいことですが、「ITストラテジストの試験を受けていることを思い出して。さらに言えば、プロジェクトマネージャやアーキテクチャと異なる役割を担っていることを忘れないように」です。

 

本問はあくまで「基幹システムの再構築を計画する」際の「ITストラテジスト」のふるまいについて書くことを求められています。

ですので、実施のプロジェクト推進途上のことは書かなくてもいい訳です。

もちろん、設問ウの後半あたりに、「本計画策定後、円滑にプロジェクトはキックオフされ、プロジェクト推進途上も、経営層とPM以下のプロジェクトメンバとの橋渡しを行い、遅滞なく進めることができた」と締めるのなどはアリかと思います。

ただ、それもあくまで添え物程度で、自分のPM時代の苦労話、特にプロジェクトの計画フェーズではなく推進フェーズの苦労話を設問イ(プロット上の2)に延々と書いてしまってはアウトです。

 

これは論文試験で陥るミスの「あるある」なのですが、自分の役割以外のことを書いてしまったら、はいお疲れ様、また来年、となってしまいます。例えばこんな感じ。

PMの試験で、「スケジュールが逼迫していたので自分でコーディングを書いた」
監査の試験で、「プロジェクト監査で、プロジェクト憲章に不備があり、自分で先行事例をもとに策定した」

 

実体験の苦労話を書きたくなりますが、要注意です。

続いてですが、2点目。いまさらなんですが、、、

 

◆基幹システムとは?を抑えておくこと

さて、IT業界にいれば、当然知っている前提で話をしておりますが、そもそも「基幹システム」って何でしょうか。

結構、人によって解釈もマチマチで対象となるシステム・サブシステムが異なる場合があります。今回、ちょっと調べてみました。できるだけ最大公約数として解釈・定義するとするならば、こんな感じです。

基幹システムとは、「販売管理」「在庫管理」「会計」など企業がビジネスを遂行するために必須である業務を効率化ためのシステムです。 「基幹」という言葉が分かりづらくしていますが、受発注管理や販売管理、生産管理、在庫管理、会計業務を行うためのシステムと理解して良いでしょう。

 

どうでしょう。

こうなると範囲外になるのが、情報系システムとバックオフィス系システムです。

本問の場合は、本文中に明確な定義がない分だけ個々人で解釈していいとも考えられますが、言外にあるIT屋が持つべき共通認識を、あまりにも逸脱してしまうのもNGです。

ですので、本問で「営業支援ツールのリプレースで」や「給与計算・人事システムで」と書くのはちょっと損です。

やはり「販売管理システムと在庫管理システムを同時に更改する案件で」と書いたほうが無難ですね。

以上 2点ほど留意点でした。

では、実際に本文を見ていきましょう。

 

本文から章立てを肉付けしてみる

 

冒頭「長期にわたって改善してきた基幹システムの課題」として「複数のサブシステムが複雑に連携」「保守性の低下」「事業環境の変化についていけない」と複数のポイントを挙げて始まります。

再構築にあたっては、費用・期間がかかり、一度にすべてのサブシステムを更改することはリソース制約とろもにリスク大である一方、経営層からは更改による受益の早期化を求められる、と続きます。

ここまでが第1パラグラフであり、本問のテーマ設定です。

 

次に、そのような再構築の課題と経営のニーズの板挟みのなかで、ITストラテジストは基幹システム再構築の計画立ての中で「全体システム化計画との整合性に留意」しつつ、「それぞれのサブシステムを、どのような順序で、どのくらいの費用と期間をかけて再構築するかの優先順位を検討」すると続いた上で、以降、箇条書きで考慮点を列挙されます。

箇条書きのところのキーワードだけ、列挙すると、

・経営層からの要請、業務や現行システムの問題、制度変更など。課題の重要性及び緊急性

・更改の順序、費用・期間を考慮して、投資効果の早期享受と改修規模の極小化

・現行機能のリユース、IT部門のリソース制約、技術上の難易度など再構築上のリスクの軽減

これらを考慮して、定性・定量の両面で把握、投資効果含めて経営に説明、と結びます。

 

今回、プロットの当て込みは、設問イ(プロット上の2ー2,3)が肝なのでそこだけやってみましょう。上記の箇条書き部分を上手くマッピングできるかが明確な論旨に繋がりますね。

2.再構築の優先順位決め
2.1.基幹システムのサブシステムの構成
・基幹システムは、「販売管理」「在庫管理」「会計」で構成されている。
・各システムの所管は営業部門、製造部門、経理部門にあり、
・クラウド、C/S、パッケージとアーキテクチャーも異な
2.2.サブシステム単位の優先順位設定の考慮点
・経営層からは販売にかかるリードタイムの縮小による機会損失防止が課題
・IT部門からは技術者不足から一斉の再構築はリスク大との見解
・会計については、新会計制度・SOX基準を厳守することから2年以内での更改が急務
2.3.設定した優先順位の内容と設定時の工夫点
・課題の重要性と緊急性をマトリックスで表現。ウエイト付けを行い、可視化した
・「在庫管理」のインフラの保守期限切れを特別延長で調整し、優先度を下げることとした

いかがでしょうか。

ひとつの「・」を1コンテンツとして、およそ100字強(文章で2~3センテンス)にしていけばいいかなと考えています。大きなひねりのない解法ですが、前回の考察でも書きました通り、出題者の意図(つまりは本文に示されている論旨)と、設問ア~ウのテンプレートに沿って論文にまとめていくことが肝要です。

 

さて。基幹システムとは何ぞや、など具体的な事例に当たるには、こちがたオススメ。

>>日経コンピュータ:定期購読

日経コンピュータの効用について、こちらにまとめました。

 

以上 皆さんの参考になりましたらうれしいです。今回は、ここまで、です。お疲れ様でした。

次回は令和4年問3でプロット作りを行う予定です。また、是非お立ち寄り下さい。