【演繹法と帰納法】「絶対に」と言う人は絶対に信じてはいけない

人間関係
セイジュン
セイジュン

こんにちは、セイジュン@ITストラテジストです。社会人生活を通じで、何度か「絶対に」と発言する人物に遭遇しましたが。。。

「絶対に間違いはないよな?」

「絶対に儲かります!」

発言の中で「絶対」をつける人物が一定割合で存在します。

このような人は「絶対に信じてはいけません」と言いたいところですが、これ自体が矛盾をはらんでいますので、控えめに言って眉に唾して対応しましょう。

なぜでしょうか?

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演繹法と帰納法を理解する

論理学で考えてみましょう。

演繹法と帰納法ってご存知ですか?

演繹法

演繹法とは、一般的かつ普遍的な事実(ルール・セオリー)を前提として、そこから結論を導きだす方法です。演繹の導出関係は、その前提を認めるなら、「絶対的」「必然的」に正しくなります。

これを一般的にしたのが、皆さんも良く知っている三段論法です。

「人間は死ぬ」

「ソクラテスは人間である」

「よってソクラテスは死ぬ」

という奴です。

演繹法の前提としては、一般論や誰もが当然知っている普遍的事実などが使われる傾向にあり、必然に必然を重ねることで結論にいたるというプロセスを経ています。

このことから、演繹法は数学的な推論方法ともいえるでしょう。

一点だけ注意は、前提として選定した一般論や普遍的事実に偏った主観が混じってしまうと、論理が破たんします。例で言えば、「人間は死ぬ」という普遍的事実が崩れたら、以下も総崩れという訳です。

帰納法

帰納法とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のことです。

演繹では前提が真であれば結論も必然的に真ですが、帰納では前提が真であるからといって結論が真であることは保証されません。

ここも、例を見てみましょう。

「人であるソクラテスは死んだ」

「人であるアリストテレスも死んだ」

「人であるプラトンも死んだ」

「しがたって人はみな死ぬ」

 

一見正しいと感じるかも知れませんが、これだとどうでしょう。

 

「ビールには水が入っている」

「ウィスキーにも水が入っている」

「ブランデーにも水が入っている」

「よって水を飲むと酔っ払う」

というものです。

違いますよね。

これが「枚挙的帰納法で仮説を正当化する企ては、壁にぶつかる」といます。その壁の代表例が、早すぎる一般化。「酔っぱらいの例」でいえば、ビール・ウィスキー・ブランデーと3つの一般化で推論するには早すぎた、という訳です。

「ソクラテスの死」 ジャック=ルイ・ダヴィッド(1987)
所蔵:メトロポリタン美術館、ニューヨーク wikipediaより

世の中は、わりと帰納法で回っている

ここまでは論理学・学問の世界でした。

ここからが深掘り考察です。

私が長年携わってきたITの世界・システム開発の分野では、

「絶対に」の後にはこう続き勝ちです。

「絶対にミスはないよな?」

「絶対にミスはないよな?」

このような「絶対に」の使い方は禁物です。

少なくとも、私はそのように育てられてましたし、今でもその考えは正しいと思っています。

というのは演繹的に証明ができます。

 

「人間はミスをする生き物である」

「システムは人間が作った」

「だからシステムにミスがある」

 

システムにミスが絶対ないよな?という質問(得てして上司の圧力)については、「絶対にミスはないとは言えません」と答えるしかありません。

上司としては、ここでハッと気付き「申し訳ない質問をした。絶対は、ないよな」と反省してくれればオッケーです。

最悪のケースは「いや、絶対と言え」となった場合です。

こういう時の対処法は、本稿ラストにて。

さて。

裏を返すと「絶対にミスがない」と言えないからこそ、人間は帰納的にミスがないこと証明しようとします。いや、ここ、証明しようではないですね。あえていえば蓋然的に裏付けようとする、でしょうか。

システム開発で言えば、設計段階でレビューを行い、顧客の承認も得て、プログラミングの段階でテストケースを洗い出し、人の目を変えてレビューを行った上で、テストを行い、その結果も他者に確認してもらう、エトセトラエトセトラ。。。

このようにシステム開発のプロセスを細分化して、都度チェックを行うことで、そのプロセス内にはミスがないことを帰納的に裏付ける訳です。

先の例で言えば、ソクラテス、アリストテレス、プラトン、ピタゴラス、ヒポクラテスと一つずつ潰していくわけですが、悲しいかな、それでミスがないことは証明できません。

出来るのは、ミスを極小化したことは帰納的に相互で理解できるというのが精一杯です。

 

絶対儲かります

金融・投資の世界では「絶対、儲かります」という謳い文句も違法性が高いとして、菌機関での勧誘・加入時に発言することが禁止されています。

ですので、裏 を返すと「絶対儲かります」という勧誘を聞いたら、その瞬間に危ないと思えばいいのです。

 

ここまで、「絶対に」という言葉について、帰納法・演繹法の観点で考察してきました。

世の中は、帰納法で示される【定理・法則・公式・方程式】よりも、演繹法で示される【不確か・可変・流動的・ブラックスワン】なことで回っていることが多いのではないか、というのが、ここでのまとめです。

これを一言でいうと、「蓋然性」、probabilityの問題、となる訳です。

「絶対に」を連発する人がいたら、そっと距離をとりましょう。