ITストラテジスト試験午後Ⅱ(論文)対策です。2020年(令和2)開催の試験問題を題材に、今回は問3。組込み系の問題です。
こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。論文対策の基本は「論文の骨組み、プロット作り」にあります。今回から2020年(令和2)の問題を題材にとります。
問3ですので、組込み系システムの問題ですね、頑張っていきましょう。
そうそう、論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。
令和2年試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問3)
今回の例題は、令和2年試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題の問3を使います。こちらIPAサイトから引用。
さて、問3です。タイトルは「組込みシステムの製品企画における調達戦略について」です。ちなみに、2021年がこちら、「異業種メーカとの協業による組込みシステムの製品企画戦略について」です。
似てますよね。
組込み系システムは、メーカ系が自社製品・商品を作る際に組み込まれるシステムなので、例えばSierの受託計算・開発案件とは成り立ちが真逆なんですね。
そのうえで、製品の企画段階でITストラテジストに求められる役割は、製品に組み込まれるシステムの技術の面からの実現性評価や、ロジスティックに関わるナレッジの提供だったりするのだと考えられます。
ですので、「ITストラテジスト ⋃ 論文 ⋃ 組込み系」の和集合を設問として出す必要があるため、製品の企画段階のITパーツに関する調達(2020年)や異業種間メーカのコラボ(2021年)という具合に問題が似てきたのではないでしょうか。
もちろん、実際に商品を世の中に出すまでには、企画から設計・製造、流通等々と様々な工程を経ていく必要があります。
とはいえ、製品の実装段階がITストラテジストの役割かといえばそうではないだろうし、たとえば、「組込みシステムの製品を作るにあたって、異業種メーカと協業で制作した製品の品質保証について述べよ」だとちょっとITストラテジストの問題ではないかな~と思います(まあ、設問の構成の仕方で上手く当てはめられるかもしれないですが)。
ということで、「「ITストラテジスト ⋃ 論文 ⋃ 組込み系」は、製品企画段階、いわゆる超上流でのITストラテジストがやることに的を絞って、設問の山を張ることができそうですね。
さて、前置きが長くなりました。話を戻します。問の本文は省略します。上記、公式サイトでご確認ください。設問ア~ウを以下、抜粋です。
設問イ 設問アで述べた製品の自社保有技術の内容、調達先の選定に関する方針内容、専門家の要請に関する検討内容、外部調達に伴うリスク及びそのリスクに対応するために配慮した内容について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた調達先の選定の方針の妥当性、外部調達に伴うリスクに対して配慮した内容の評価、外部調達による副次効果、及び将来の展望について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
さて、今回も、問の本文を読む前に、論文の骨組み(プロット)は、設問ア~ウで導いてみましょう。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。
以下、です。
1.1.組込みシステムの製品の概要(250字)
1.2.製品企画の経緯(250字)
1.3.調達戦略(250字)
2.製品開発に至る内容・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)
2.1.製品の自社保有技術の内容(300字)
2.2.調達先の選定に関する方針内容(300字)
2.3.専門家の要請に関する検討内容(300字)
2.4.外部調達に伴うリスク及びリスク対策の配慮点(300字)
3.調達先選定方針の妥当性・・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、800字)
3.1.外部調達に伴うリスク対策の評価(400字)
3.2.外部調達による副次効果及び将来の展望(400字)
どうでしょう。おおよそのバランス、こんな感じではないでしょうか。
では、問いの本文にいきましょう。冒頭、「組込みシステムの製品において、~ 他者製品との連携、複合化、新技術の導入など、高度化、複雑化した要求が増えている」と始まります。
その後、「技術の洗い出し、その結果を受けての自社開発と外部調達との棲み分けを分析し、調達方針を検討する」といった組込み系ITストラテジストの要件に話が進みます。
その「調達戦略」では、コスト削減、技術要素の陳腐化や自社コアコンピタンス以外の領域による外部調達検討が背景の例として挙げられています。
さらに調達先の選定の例として、自社との関係・実績、技術評価、安定的な供給、見積提示価格、品質管理などの重要性を列挙しています。
さて、論文のプロットに対して、「私が」企画した組込みシステムの概要、そうですね~、2021年の論文と同じ「デジタルサイネージ」に掛かる調達を裏返して「自動販売機」側からいってみましょうか。
設問アです。
1.私が企画した組込みシステムの製品の概要、製品企画の背景、調達戦略
・自動販売機に、購買者への広告と防災速報を掲示する要素を付け加えた新製品
・自動販売機の差別化戦略として、自動販売機の前面にデジタルサイネージを配置し、通常は商品の広告や地域のニュースを掲示し宣伝に役立てる
・また災害時には緊急速報などを発信する機能を付加する
・デジタルサイネージメーカと防災メーカに発注を検討
続いて設問イです。ここでは、2.3の専門家の要請のところを本文と照らしてもう少し細かく分析します。
2.製品開発に至る内容
2.3.専門家の要請に関する検討内容
本文では、「ネットワークを利用した製品においてセキュリティに関するスキルが自社にない場合は、外部の専門家を要請するケースもある」とあります。つまり外部の専門家を調達先のひとつとして論じているわけです。
例は、IT分野のセキュリティでしたが、自社にない知識を持っている外部専門家(ITでなくてもいい)を雇い入れた例をマッピングすればいいということになります。
・製品のパテントを確保する観点から弁理士の参画を要請した
・収集したデータから購買分析を行う必要からデータサイエンティストの参画を要請した
最後、設問ウ、です。
ここは、本文のラストに「組込みシステムのITストラテジストは、製品を企画する際に必要な技術を洗い出し、中長期的な視点で自社開発と外部調達との棲み分けを決定し、外部調達については、外部へ情報を開示するるスクにも配慮しなければならない」とある部分からマッピングできそうですね。
3.調達先選定方針の妥当性
3.1.外部調達に伴うリスク対策の評価
・ある技術要素について、ある理由から外部へ情報を開示する必要が生じた(ある技術要素とある理由は考えてください)
3.2.外部調達による副次効果及び将来の展望
・副次効果。ここはいいことですね。今回の調達を契機に長期的な良好な関係を構築できたとか。
・将来の展望。ここもいいことですね。他の製品についても同一調達先を利用することになり、個別部品の調達コストの低減が測られるようになったとか。
いかがでしたでしょうか。
ここまで見てくると、組込み系システムのエンジニア向け出題ではなく、ITを活用した商品企画・マーケッター向け出題という感じです(2021年の問3でも同様に感じました)。
やはり、「ITストラテジスト ⋃ 論文 ⋃ 組込み系」では出題の範囲・要素がITを活用した商品企画に寄ってくるんだろうなというのが、今回2問の組込みシステムの問題を見た結果の仮説です。
ということは、組込みシステムを担当していなくても、事業企画・ビジネス開発・製品企画といった分野に携わった経験のある人で、その上流での業務内容(ここ2年間は調達・他社コラボ)を理解していれば、あとは論文に当てはめる事例をどっかからパクってくればイイという事になります。
事例を押さえておくというのがいかに大事かが分かりました。毎度のアナウンスで恐縮ですが、ほんと日経コンピュータ、おすすめ。今度、日経コンの記事で事例作ってみましょうね。
日経コンピュータの効用について、こちらにまとめました。
今回は、ここまで、です。お疲れ様でした。もしかしたら、論文試験は、問3の組込みのほうがいいのか。。いや。。近々、もう一問くらい過去問で組込み系をあたってみましょうかね。また、次回ぜひお付き合いください。