ITストラテジスト・午後Ⅱ対策:実際の問題を解く!(R3問1)

ITストラテジスト

 

セイジュン
セイジュン

午後Ⅱ(論文)対策の第一歩は、問いの文章と設問ア~ウの指示をしっかり咀嚼して、論文の骨組み(プロット)を作成するところにあります。具体例でみてみましょう。

こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。そこでも試験サンプルをもとに考察をすすめてみました。

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令和3年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問1)

今回は、ITストラテジスト試験の令和3年(2021)の春問題を参照しながら、プロットを作成してみましょう。

過去問:令和3年春試験、ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題、こちらIPAサイトから引用。

さて、問1です。

タイトルは「デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画について」です。問いの本文は省略します。上記、公式サイトでご確認ください。

設問ア~ウを以下、抜粋します。

設問ア あなたが携わったDXを実現するための新サービスの企画について、背景にある事業環境、事業特性、DXの取組の概要を、800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べたDXを実現するために、あなたはどのような新サービスを企画したが、ターゲットとした顧客とそのニーズ、活用したデータとデジタル技術とともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問イで述べたDXを実現するための新サービスを具体化する際には、あなたは経営層にどのような提案を行い、どのような評価を受けたか。評価を受けて改善したことともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

さて、問いの本文を読まなくても、論文の骨組み(プロット)は、設問ア~ウで導くことが出来ます。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。

以下、です。

1.私が携わったDXを実現するための新サービスの企画・・・設問ア(800字以内の指示に対して、750字を想定)
1.1.背景にある事業環境(250字)
1.2.背景にある事業特性(250字)

1.3.DXの取組の概要(250字)

2.新サービスの企画内容・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)
2.1.新サービスの内容(400字)

2.2.新サービスのターゲット顧客とニーズ(400字)

2.3.活用したデータとデジタル技術(400字)

3.経営層への提案内容と評価及び改善点・・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、750字)
3.1.経営層への提案内容(250字)

3.2.経営層からの評価(250字)

3.3.改善点(250字)

どうでしょう。凡そのバランス、こんな感じではないでしょうか。

では、おもむろに問いの本文に触れてみます。

冒頭、「企業は、データとデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むことが重要になってきている」と始まります。

ここで、DXの概要が分かっていないと、この問題はアウト。問2、3をチョイスしたほうが無難です。

日本でのDXは、たしか2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめたことを契機に広がり始めます。(私の浅薄な知識で恐縮。もしもその前からのトレンドがありましたらゴメンナサイ。)

一過性のバズワードかなとも思いましたが、(経産省の肝いりもあってか)世の中に定着してきました。そして、早くも3年後のITストラテジストの問題(しかも論文)に登場です。

このような新語の理解は、やはり学術書や参考書といった出版まで一定の時間が必要となる媒体ではなく、新聞や雑誌といった即時性のある媒体に優位性があります。

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さて、問いに戻ります。その後、2つの具体的事例が挙げられています。

一つ目が、「流通業のグループ会社である倉庫会社では、物流保管サービスのプラットフォーマに変革するというDXを実現するための新サービスの企画」。

二つ目が、「測量機器メーカによる、サービス業にも事業を拡大するというDXを実現するたまの新サービスの企画」です。

どちらも、従来のコアコンピタンスから、「データとデジタル技術を活用して」新サービスを企画する、というものです。

これに相当するものを、設問アとイの前半、上記の骨組みでいえば、1.と2.1.にまとめることが求められているという訳です。

 

さて、問いを読み進めます。

2つの事例のあと、「ITストラテジストは、DXを実現するための新サービスの企画には、ターゲットの顧客を明確にし、その顧客のニーズを基に新サービスを健闘する必要がある」と続きます。これは、そのまま設問イ、骨組みの2.2.と2.3.に組み入れます。

例えば、問い本文内の事例1:倉庫会社の新サービスでいえば、

2.2.ターゲット顧客とニーズ
ターゲット顧客:グループ会社以外の一般法人企業。特に、衣料品レンタル会社など
ニーズ:洋服一点ごろの管理ができる倉庫を求めていた
2.3.活用したデータとデジタル技術
活用データ:商品1個単位の入出庫・保管情報
デジタル技術:ICタグとオープンAPI

とマッピングすることができますね。

さて、問い本文を読み進めます。問いの結びとして「収益モデル、業務プロセス、新サービスの市場への普及方法、リスク対策、協業先等の検討を、投資効果と合わせて経営層に提案する」とあります。

これは、設問ウ、骨組みの3.1.の要素にあり、それに関連付けて、3.2.と3.3.をまとめていけばOKです。

事例1:倉庫会社の新サービスでいえば、

3.1.経営層への提案内容
収益モデルとして、倉庫を貸すという本業に加えて物流保管システムも合わせて提供するマネタイズの方法だとか。新サービスのマーケティングとして、アパレル業界への展示会に出典だとか。リスク対策として、「初年度以降の収益モデルに加え、撤退シミュレーションも設定する」とか。

 

3.2.経営層からの評価 と、3.3.改善
評価として「物流保管システムの課金方法として、月額サブスク方式も検討するようにアドバイスを受けた」とか。改善として、「倉庫代に付加する課金方式に加え、月額・年額のサブスク方式や、商品点数による従量課金方式など、顧客ニーズに沿った料金プランを設定した」とか。

いかがでしょうか。

論文試験のキモは、「試験開始」の号令から一気呵成に原稿用紙を埋めるのではなく、問い本文と設問を丁寧に読み、骨組みをきめて、過去の自分の経験や日経コンピュータなどからパクった先行事例をその骨組みにマッピングさせてから、やおら書き始めるというところにあります。

今回は、ここまで、です。

 

お疲れ様でした。また、次回ぜひお付き合いください。