福岡旅行記#5: 玄海島から玄海丸へ。最終日の午前中は海と島を満喫

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セイジュン
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こんにちは、セイジュン(@39Seijun)です。2025年9月中旬、福岡2泊3日の一人旅。いよいよ最終日。朝イチから港へ。始発のフェリーに乗り込み玄海島に向かいます。

 

2025年9月19日(金) 5:30 ~ 12:00

3日目の朝、5時半に起床。旅の最終日ということもあり早起きです。荷物をまとめ、身支度を整えたら、6時15分に宿をチェックアウトしました。チェックアウトはキーボックスにキーを返却するだけの簡単なスタイルです。スタッフとの対面もなくスムーズに出発でき、朝の静かな時間にぴったりの仕組みでした。

宿を出たあとは、少し歩いて渡辺通りの方から今回の旅で初めてタクシーを利用しました。これまでの移動はすべて公共交通機関。西鉄バスや地下鉄、JRを乗り継いで福岡の街を巡ってきましたが、最終日の朝にして初めてのタクシー移動です。

タクシーに乗ってしまえば、目的地まではあっという間。わずか10分ほどで、最初のチェックポイントであるベイサイドプレイス博多に到着しました。運賃は1,310円。

ベイサイドプレイス博多に到着後、フェリーターミナルの待合室へ。この時間はまだ乗船客もまばらで、館内は静かです。待合室の一角には大きな水槽があり、アジやウミガメ、小さなサメなどが泳ぐ姿を眺めることができました。

チケットは自動販売機で購入。PayPay が利用できたので、キャッシュレスでスムーズに支払いを済ませました。料金は 往復870円 × 2枚。お手頃な価格で、海の旅が始まります。

目的地は今回の旅のハイライト、玄界島(げんかいじま)。乗るのは7時10分発の「ゆうなみ号」です。

改札は出航の5分前、7時5分 に始まりました。7時10分、船は静かに港を離れます。乗客はほとんどが釣り竿を手にした釣り人たちで凡そ7〜8名ほどです。

この日は天候にも恵まれ、海上はほとんど揺れもなく快適な航海。船の窓からは青空と海が広がり、絶好の船旅日和でした。進行方向の左手には、福岡・博多の街並みが徐々に遠ざかっていくのが見えます。昨夜行ったドームを海から眺めます。

反対側には志賀島(しかのしま)が朝の陽光を浴びながらきらきらと輝いていました。

7時45分、定刻通りに玄界島へ到着。船を降りると、目の前にはこぢんまりとした待合所があり、帰りのフェリーは 9時40分発 と確認。それまでの約2時間、島をのんびりと散策することにしました。玄界島はこぢんまりとした島なので、このくらいの時間でちょうど良さそうです。

港周辺にはいくつかの公共施設が並び、大きな地図が掲示されておりましたが、見た目にも高台にある公園、その先にある住宅群、そして小学校・中学校が見えます。まずは高台にある公園を目指します。

港から少し歩き、段々に続く坂道を登っていくと公園に出ました。そこには今回の訪問の目的でもある復興碑 が立っていました。

ちょっと長くなりますが、引用しますね。

福岡県西方沖地震 玄界島復興モニュメント

平成17年3月20日の地震で玄海島は壊滅的な被害を受けました。
無残な姿で途方に暮れる日々でしたが、島民が一致団結し、 いち早く「玄海島復興対策検討委員会」を立ち上げ、 毎週委員会を開催し、協議を重ね、 平成17年7月には「小規模住宅地区改良事業」により島の全面的な復興を行うことが決まりました。

その時から、島民の総力を挙げて復興を目指した結果、 震災から丸三年を迎えた今日、離ればなれに生活していた家族・親族が 新しく生まれ変わった「郷里玄海島」で生活を再開し、 復興した喜びをかみしめながら、 これからは多くの方々に訪れてもらえるような玄海島を目指し、 一丸となって島づくりに取り組んでいきます。

このことを私たちは風化させないために、今ここに記念モニュメントを建立します。

このモニュメントは、この地に伝わる「百合若伝説」の鷹をイメージし、 未来に向けての翔きを表現したものです。

玄界島復興対策検討委員会
平成20年5月吉日

 

震災が起きて20年なんですね。本当についこの間。現代の、そして実に平易な言葉で記された復興碑、だからこそ思いが伝わりますね~。

モニュメントも素晴らしい、高台から見える海も綺麗。晩夏の日差しは強いけれど、潮風が気持ちいい~。

復興碑を見終えたあと、さらにゆるやかな坂を上っていきます。

集落の一帯は、地震で大きな被害を受けたため、その後すべての住宅が建て替えられた訳ですね。現在では、どの家も新しく、しっかりとした造りの立派な家並みが続いていました。坂道はまるで「いろは坂」のように折り返しを繰り返す緩やかなカーブが続いており、住民・道民の皆さんに移動しやすいように配慮がなされているのだなあと気づきます。家々はその坂に沿って南向きに並び、陽当たりを意識した配置になっていました。その坂道に対して、直角(つまり急斜面方向)に階段が、右・中央・左と辻々に沿う設計で作られています。傾斜がきつく、見た目にもなかなかの迫力。階段を歩くときは足元に注意しながら歩く必要がありました。

坂道を上っていくと、家々の間を抜けた先のいちばん高い場所に、先ほども遠目に見えた玄界小・中学校がありました。ちょうど登校の時間帯で、校門の前には先生と生徒たちの姿が。「おはようございます」とご挨拶すると、皆さん元気に笑顔で応えてくれました。掲示板の貼り紙を見ると、今週末の9月19日(土)に運動会が予定されているとのこと。小さな島の学校らしい手作りの行事に、きっと地域全体が盛り上がったのだろうなと、今あらためて思い返しています。

 

小学校のある場所は島のいちばん高台にあたります。そこからは港や海が一望でき、玄界島の全体像を感じられる絶好のビューポイント。ふと視線を海へ向けると、先ほど自分が乗ってきた「ゆうなみ号」が、博多へ向けてゆっくりと出港していくところでした。静かな島の朝に、エンジン音だけが穏やかに響きます。次にあの船が戻ってきて、僕を乗せて帰ってくれるのは9時40分発の便。その時刻まで、もう少しだけ島の時間を楽しみます。

 

高台をあとにして、ゆっくりと坂を下りながら港の方へ向かいます。朝の空気は澄んでいて、潮の香りが心地よく漂ってきました。港沿いを歩いていると、数人のおじいさんたちがベンチに腰を下ろし、のんびりと海を眺めたり、言葉少なに談笑したりしていました。

漁を終えて戻ってきたところなのか——そんなことを想像しながら、その穏やかな姿を見守ります。どこか文学的で、まるでヘミングウェイの『老人と海』のワンシーンを見ているような風情。時間がゆっくりと流れる島ならではの光景でした。

 

そして、もう一つこの島で心を和ませてくれたのが、野良猫たちの存在でした。港や路地のあちこちで姿を見かけ、数えてみると全部で10匹以上はいたように思います。

日向ぼっこをしていたり、のんびりと道端を歩いていたり、人の気配にも動じず、島の風景にすっかり溶け込んでいました。

どの猫も穏やかで、まるで島全体が家族のように彼らを見守っているようです。この“猫たちの楽園”のような雰囲気も、玄界島の魅力のひとつに感じられました。

時刻は9時ちょうど。フェリーの出航まで少し時間があったので、島の中心部にある 玄界島郵便局に立ち寄りました。小さな局舎の中には、男性の局員さんが2名。お忙しいなかでも丁寧に応対してくださり、少しお話をさせていただきました。島に暮らす人々にとって、郵便局はまさに生活の要。大切なライフラインとして、地域に根付いている様子が伝わってきました。僕が「郵便局めぐりをしている」とお話しすると、にこやかに応えてくださり、我が趣味の通帳記入だけでなく、ハガキに記念印を頂きました。玄界島郵便局の局印は、島のシンボルでもある鷹をモチーフにしたデザイン。

玄海中学校の生徒さんがデザインの原案を考えたとのこと。震災から20年の今年3月21日から使用を始めたのとのことでした。先程の復興碑にもありました「百合若伝説」の鷹ですね。

9時20分過ぎ、港に戻るとフェリー「ゆうなみ号」がゆっくりと帰港してきました。待合室でしばし休憩し、出航5分前になったところで乗船します。帰りの便は、行きとは少し雰囲気が違いました。島のご婦人方が数人、次々と乗り込んでいきます。ガラガラを引きながら、おそらく博多へ買い物や通院に出かけるのでしょうかね。地元の人々の生活に寄り添う船旅に、自分もそっと混ざるような感覚です。観光ではなく、日常の延長線にある島の足としてのフェリーの姿を感じながら、僕もその流れに合わせて船内へ。

帰りのフェリーも、行きと同じく揺れもなく、穏やかな航海でした。10時15分、再びベイサイドプレイス博多に帰着しました。短いながらも内容の濃い離島の朝旅でした。

港に戻ったあと、すぐそばの博多ポートタワー に立ち寄りました。展望室からは、さきほどまで滞在していた玄界島をはじめ、博多湾に浮かぶ島々や、市街地の全景、そして昨日訪れたみずほPayPayドームまでも見渡すことができました。空は快晴。天気にも恵まれ、最高の眺望を楽しむことができました。何しろ、登るの無料ですよ。

11時発のバスに乗車。バス停を4つほど進んで、再び天神北まで戻ってきました。こうして、玄界島をめぐる半日の離島旅がひと区切りとなりました。

バスは天神北に到着。ランチに向かったのは、海天寿司 玄界丸。実はこのお店、昨日バスに乗っていた時に車窓から見かけて「明日はここでランチ」と狙っていたお店です。

まずはビール。お寿司はタッチパネルからモロモロ頼んだのですが、どれもネタが新鮮。特に印象に残ったのは、ゴマサバとエビとイカ。ぷりぷりとした歯ごたえと濃厚な旨味、最高です。お会計は3,843円。このクオリティでこの価格、コスパ抜群です。

さらに、九州博多特有のたまり醤油がまた絶妙。ほんのりとした甘さがネタの味を引き立ててくれて、クセになりそうな美味しさでした。

以上、旅行最終日の午前中、本当に最高の時間でした。そして、旅はフィナーレへ。次回も、お時間ありましたらお立ち寄りください。