に:ニカウさん【にかうさん】

80年代

こんにちは、セイジュン@80年代少年(@39Seijun)です。80年代あいうえお辞典、今回は「に」の項。80年代初頭にブームとなったあの映画の主人公、ニカウさんについてです。

1982年公開の映画「ミラクル・ワールド ブッシュマン」

今では覚えている人も少ないのかも知れません。名作として語り継がれるといった作品とは、ちょっと違って今の若いかたが追いかけて見るというものでもないのかも知れません。

しかし、82年公開当時は、大ブームになったのです。その年の国内配給収入トップ1ですから。

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ミラクル・ワールド ブッシュマン

アフリカのカラハリ砂漠に住むサン人(この旧称がブッシュマン)の村に飛行機から捨てられたコーラビンが落ちてきて。。。そこから騒動が始まって、というコメディ映画でした。

コーラの瓶を口元に持っていって「ボーボー」と笛のように吹くという行為が何故か気に入ったブッシュマン達。

瓶は、水を運ぶ器やなめし皮の模様つけに使える道具として便利なアイテムになるのですが、同時にそれは物欲というか所有欲の象徴のようになっていき、ブッシュマン達のいさかいの種になります。

解決のために、主人公はコーラの瓶を始末する旅に出て、紆余曲折のすえ断崖絶壁からビンを投げ込んでおしまいという作品でした。

ツイッターで示唆頂いたのですが、このあらすじは、「指輪物語」「ロード・オブ・ザ・リング」に酷似しているとのこと。なるほど、ですね。「ブッシュマン」制作時点で「指輪物語」(1954年出版)は既に古典の域にあり、物語の大筋として拠ったのでしょうか。興味深いですね。

コメディであると同時に、富と欲望、文明の衝突といった教訓的なテーマもあって話題になった作品でした。82年の公開でしたが、その年の国内配給収入トップ10がこちら。

1 ミラクル・ワールド ブッシュマン 23.6億円
2 セーラー服と機関銃/燃える勇者 23.0億円
3 キャノンボール 21.0億円
4 ハイティーン・ブギ 18.0億円
5 ロッキー3 16.7億円
6 少林寺 16.5億円
7 大日本帝国 14.0億円
8 レイダース/失われたアーク 13.8億円
9 機動戦士ガンダムIII 12.9億円
10 ドラえもん のび太の大魔境 12.2億円

 

角川映画や「たのきんトリオ」の映画を抑えての1位ですから、すごいものです。

ニカウさん

さて、その「ミラクル・ワールド ブッシュマン」の主人公を演じていたのがニカウさんです。

本来はナミビア共和国に住む庭師だったとのことですが、本作そして後続のシリーズで「ナミビアで一番有名な俳優」と言われるほどになりました。

1983年には日本にも来日。

ブッシュマン・ブームもあって、ムツゴロウさんとの共演や「夜のヒットスタジオ」「ひょうきん族」といったテレビにも出演するなど、お茶の間にも浸透していました。

「楽しくなければテレビじゃない」の頃のフジテレビ、さすがです。

ただし、なんとなく半笑い的な要素もあって、おそらく今ではポリティカルコレクト的に放送できないモノかも知れません。

ニカウさん自体は、実に飄々とした立ち居振る舞いで愉快な人だったと記憶しています。

その後、2003年、故郷ナミビアで薪を拾いに行ったまま帰らず、探しに来た家族に亡くなっている所を発見されたとか。合掌。

 

ブッシュマン・シリーズ

映画は、その後 5シリーズまで制作されました。現在は、「ミラクル・ワールド ブッシュマン」というタイトルから「コイサンマン」に改題されています。

ブッシュマンという呼称に、西洋文明からの侮蔑のニュアンスがあるとのことによります。

本来は、南部アフリカのカラハリ砂漠にすむ民族であるサン人、また過去ホッテントットと呼ばれていたコイコイ人を総称してコイサン族、コイサンマンと呼ぶようになり、映画タイトルも「コイサンマン」になった訳です。

サン人。彼らこそが、人類の祖先、地球最古の人類とも呼ばれています。

さて、80年代あいうえお辞典。次回は「ぬ」の項で。