国鉄分割民営化。1987年の出来後です。JRというネーミングも、もうすっかり定着している今日、かつは「国鉄」なるものがあったなんてもう忘却の彼方なのでしょうか。87年3月31日を振り返ります。
こんにちは、セイジュン@アラフィフ+80年代少年です。JRというネーミング、もうすっかり定着していますが、何の略かお分かりですか?そうです、Japan Railwaysです。訳せば「日本鉄道」。
国鉄分割民営化の意義
JR以前には、日本国有鉄道、つまりは「国鉄」なるものがあったなんて、お若い方にはピンとこないんでしょうね。歴史上の出来事として知っているとか(なんか急に歳を取ってしまった感)。
歴史、政治史・経済史的にみれば、時の中曽根内閣が行った行政改革の一貫であり、同時期に行われた日本電信電話公社や日本専売公社を含めた三公社の民営化の一施策として語られています。
特に国鉄は、37兆円の累積債務となっていたとかで、民営化による改革は後戻りのできない国家的な判断だったということですね。
さて、【追憶の80年代】としては、真面目だけでは面白くない。
1987年3月31日から4月1日にかけて、つまりは国鉄が幕をおろしたあの日をテレビ欄から振り返ってみましょう。
1987年3月31日のテレビ欄
国鉄からJRへの移行は、1987年3月31日から4月1日にかけて。
年度のカウントでいうと87年度(昭和62年度)で国鉄は幕を閉じ、88年度(昭和63年度)にJRがスタートということですね。
ちょうど深夜0:00をまたいで会社が変わるとということで、日付をまたいだ深夜特番など、テレビ各局も対応をしていました。
国鉄新会社スタート
◆日本テレビ系:3月31日21:00 - 4月1日1:00
今夜発 未来ゆき夢トレイン さよなら大放送 おもしろ国鉄スペシャル
◆TBS系:3月31日22:00 - 4月1日0:30
列島全中継・国鉄最後の夜
◆フジテレビ系:3月31日17:00 - 18:00、4月1日0:10 - 0:40
報道特番・消える国鉄(3月31日17:00 - 18:00)
報道特番・今旅立ちJR(4月1日0:10 - 0:40)。
◆テレビ朝日系
トゥナイトの中で国鉄最後の模様を放送
ニュースステーションスペシャル 多元中継・検証鉄道…いい日旅立ちですか
ニュースステーションのサブタイトル「いい日旅立ち」。そう、あの曲です。
山口百恵と原田知世
9年ほど時間を巻き戻して1978年11月。
山口百恵さんの最大のヒット曲が発売されます。それが「いい日旅立ち」です。
それまで、宇崎竜童と阿木 燿子コンビニによるヒット曲が多かった百恵ちゃんですが、「いい日旅立ち」は谷村新司によるしっとりとしたバラード。
この曲は、発売当初から5年間にわたって国鉄の旅行誘致キャンペーンソングとして用いられており、その後もJRでの旅といえば「いい日旅立ち」というほど皆さんの記憶に刷り込まれていました。
ですので、1987年3月31日にも、テレビ朝日は、「いい日旅立ちですか」とニュースステーションらしいちょっと皮肉なサブタイトルをつけた訳ですし、他局も特番で流していたと記憶しています。
さて、もう一曲この日に流れていたのが、原田知世ちゃんの「逢えるかもしれない」です。
先にあげた各局の特番の中で最もお祭り的に盛り上げていたのが日テレ。
0:00を回った後、新生JRの「一番列車」の車内から現れて唄い出すという「ベストテン」的な演出で流れた曲です。司会進行は徳光アナウンサー、アシスタントが三田寛子というあたりにも80年代を感じさせます。
この年、知世ちゃんは「私をスキーに連れてって」がヒットしておりますが、なんと30年後の2017~18年のスキーシーズンに「私を新幹線でスキーに連れてって」と『JR SKISKI』キャンペーンに使っています。
野坂昭如と料治キャスター
各局の特番ですが、JR誕生にスコープをあてて喜ばしい門出として扱っていたのが大半ですが、なぜか覚えているのがTBSです。こちらは、無くなっていく国鉄、そこで働く労働者に焦点を当てていました。
作家の野坂昭如氏と料治キャスターが、民営化反対の労組の人たちと焚き火を囲むシーンです。
薄いサングラス姿の野坂さん。
「朝まで生テレビ!」(1987年4月~)出演の前夜ですが、既にある種のこわもて・反権力というイメージはありました。「オールナイトフジ」でとんねるずの貴さんをなぐったのが1986年でした。
一方の料治さんも顔が怖かった。TBSの「報道特集」の司会を務めていらっしゃいました。
この二人が、労組の方々と深夜の操車場で焚火を囲んでいる。
すべてがバラ色ではないんだということが伝わってきた記憶しています。
そして、JRへ
こうして、1987年4月。JR各社がスタートしました。
日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社の三公社が民営化されるに至る訳ですが、一つだけ残念なのが社名、通称名を横文字にした点です。
日本国有鉄道 → JR各社
日本電信電話公社 → NTT(正式には日本電信電話株式会社 )
日本専売公社 → JT (正式には、日本たばこ産業株式会社)
う~ん、やっぱりここは日本語でしょう。
この後、調子にのった(?)JRは「国電」の代わりに「E電」なる造語を編み出して流行らせようとして頓挫。
その怨念が、30年以上が経過した2020年になって「高輪ゲートウエイ」という世にも奇妙な駅名を作ってしまったのでした。
さて、80年代あいうえお辞典。「か行」もおしまい。次回は「さ」の項で。