ITストラテジスト・午後Ⅱ対策:実際の問題を解く!(R2問2)

ITストラテジスト
セイジュン
セイジュン

ITストラテジスト試験午後Ⅱ(論文)対策です。今回は2020年(令和2)開催の試験問題を題材にしていきます。今回は問2。「ビジネスモデル策定」の問題です。

こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。午後2対策の「論文の骨組み、プロット作り」、今回も2020年(令和2)の問題を題材にとります。今回は問2で「ビジネスモデル策定の支援」の問題です。

論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。

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令和2年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問2)

今回の例題は、令和2年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題の問2を使います。こちらIPAサイトから引用。

さて、問2。タイトルは「ITを活用したビジネスモデル策定の支援について」です。

この後に続く本文の中に、「ビジネスモデル」の説明はありますが明確な定義(「ビジネスモデルとは」といった表記)はありません。つまり、出題者の意図として「ビジネスモデルの定義は解答者の頭のなかにすでにありますよね」という考えが窺えます。

一般的なビジネスモデルの定義は、以下の通り(wikiから引用)。

ビジネスモデル(business model)とは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造を示す用語である。

 

個人的には、「事業企画、より具体的にいえばサービス・ソリューションの企画」と考えており、本文を読むと、それに加えて「サービス・ソリューションの企画のうち、特に収益モデルにスコープをあてたもの」と読み取れます。

ここで気をつけたいのが、「ビジネスモデル」の定義の中には「ITで」という注釈はないこと。タイトルに「ITを活用した」と枕詞はありますが、この問2がITではなく、ビジネスに寄った設問であることが理解できます。

皆さんは、エンジニアをスタート地点にキャリアメイクしている方が多いとは思いますが、出自がITやエンジニアでなく、他の諸種領域からITストラテジストを目指す方にとって、特にその方が商品企画や事業企画に携わった経験がある場合は、(仮にITの経験がなくても)とっつきやすい問題かもしれませんね。

話がそれました。問いに戻りましょう。

本文の読み解きは後ほどとして、まずは設問ア~ウから論文のプロットを組み立ててみましょう。

まずは、設問ア~ウを以下、抜粋します。

設問ア あなたが策定に携わったITを活用したビジネスモデルについて、経営課題、ビジネスモデル策定の背景を、現行事業の特性とともに800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた経営課題の解決のために、どのようなビジネスモデルを策定したかについて、顧客、価値提案、収益や利益確保の方法、活用したITを明確にして、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べたデジタル技術を活用した業務プロセスが、事業課題の解決に貢献することについて、あなたが事業部門に説明した内容は何か。また、事業部門から指摘されて改善した内容は何か。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

さて、今回も、本文を読む前に、論文の骨組み(プロット)は、設問ア~ウで導いてみましょう。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。

以下、です。

1.私が携わったITを活用したビジネスモデル・・・設問ア(800字以内の指示に対して、750字を想定)
1.1.ビジネスモデルの概要(250字)
1.2.背景にある経営課題(250字)
.3.現行業務の特性(250字)
2.経営課題の解決のために策定したビジネスモデル・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)
2.1.顧客への価値提供の観点(400字)
2.2.収益・利益確保の方法(400字)
2.3.活用したIT(400字)
3.ビジネスモデル策定時に重要視した施策・・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、800字)
3.1.重視した施策(400字)
3.2.経営層から受けた指摘と改善した内容(400字)

 

どうでしょう。おおよそのバランス、こんな感じではないでしょうか。

では、本文にいきましょう。冒頭、「(前略)企業間の競争が激しくなる中、新規顧客の獲得、競争優位性の確保、新たな収益源の創出などが企業の経営課題となっている」と始まります。

その後、ビジネスモデルの策定の条件・要諦として、①顧客、②提供価値、③収益・利益の特定を挙げ、その中でのITストラテジストの役割を説明していきます。

続けて、具体的事例として、カーシェアリング事業と電子決済サービス事業という2つの事業創出を挙げて、まとめにはいります。ここまでで、カーシェアリングを事例にとり、設問ア、イ(プロットの1.と2.)にマッピングしてみましょう。

 

1.私が携わったITを活用したビジネスモデル

1.1.ビジネスモデルの概要

・自動車の貸し出しを希望する顧客に対し、利便性の高いサービスを提供する。

・同サービスを展開するにあたっては運営コストの最小化を果たし、利益を確保する必要がある。

1.2.背景にある経営課題

・当社は、レンタカー事業を展開している。

・営業所でのレンタルだけでなく、空き駐車場を活用し、サブスク型のカーシェアを展開することで収益拡大を図りたい経営課題を抱えている。

1.3.現行業務の特性

・現状のレンタカー事業では、夏季・冬季に繁忙する傾向があり、利用の平準化が課題。

・また、営業所の要員確保が困難であることからITを活用した省力化を図る必要がある。

2.経営課題の解決のために策定したビジネスモデル

2.1.顧客への価値提供の観点

・拠点数の少ない営業所まで出向かないと車を確保できない不便さからの脱却

・空き駐車場に車が点在しており、ネット情報から最寄りの車を確保できる

・定額・サブスクで価格設定されていることから、毎週末に利用可能な価格モデル

2.2.収益・利益確保の方法

・空き駐車場への誘導からユーザへの貸出・返却まで、営業所職員の体力を使うことなく全て無人でのオペレーションが可能。よってコスト僅少で運営可能。

・従来のレンタカー事業では繁閑による収益の山谷があったが、サブスク形態でのビジネスモデル導入により安定的な収益確保に繋がる

2.3.活用したIT

・ユーザがスマホで空車を探して利用できる利便性確保

・自動車に搭載したIoT機器で貸出・返却を無人化

 

どうでしょうか。もう少し要素を追加する必要がありますが、仮に問い本文に挙げられた事例に基づくとこんなイメージではないでしょうか。

各自、事前に用意した事例でうまくマッピングできるかお試しください。なお、カーシェアリングの応用として、例えば自治体におけるレンタル自転車の事業なども浮かびました。

経営課題として、市民の移動・交通への便益提供、環境を意識した交通手段の提供という風に膨らませていけば応用も可能ですね。

さて、設問ウ(3.)に絡めて、本文のまとめを見てみます。本文は2つの事例のあと、ビジネスモデル立ち上げには、「初期利用社の獲得、サービス基盤の整備、実行体制の構築などの施策」が重要と述べ、それにあたっては事業部門・経営層に説明・承認を受ける必要があるとまとめます。このまとめ方は、設問ウと表裏一体でよくあるパターンですね。

 

3.ビジネスモデル策定時に重要視した施策

3.1.重視した施策

・初期顧客の獲得として、レンタカー会員への訴求を実施

・サービス基盤では空き駐車場確保を不動産会社とコラボ

・実行体制は本社企画部門で進め既存の営業所の体力ねん出は極小化

3.2.経営層から受けた指摘と改善した内容

・既存事業とのカニバらないことの証明

・特定地域で先行導入

 

いかがでしたでしょうか。近年の問題設定は、経営課題を(ITを活用した)ビジネスモデル/事業企画/サービス企画/業務効率化を実現し解決したというロジックが多いですね。IT専門職、というよりIT活用を想定できる企画者として、事例を想定する必要がありそうです。

 

うまい事例が浮かばないかたは、

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今回は、ここまで、です。お疲れ様でした。また、次回ぜひお付き合いください。