午後Ⅱ対策:実際の問題を解く!(令和6年春問1)

ITストラテジスト
セイジュン
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ITストラテジスト試験午後Ⅱ(論文)対策、今回から2024年(令和6年)の問題を題材にします。この年から午後Ⅱの選択問題数が3問から2問に減りました。2問から1問チョイスです。2回に分けて取り扱いますので、あなたならどっちを選択するかなんてことも想像しながらご覧ください。

こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。

本番の試験問題を参照しながら論文の骨格(プロット)を作る取組です。今回から2024年(令和6)の試験問題を題材にします。

論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。過去問:令和6年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題、こちらIPAサイトから引用しております。原典も是非ご参照下さい。

論文対策は書く事、そしてそれを他者に採点してもらう事がポイント。一番良いのは、模試か通信教育の受講です。2025年度版の模試・通信教育情報、こちらの記事でまとめました。併せて是非!
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令和6年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問1)

まずは問1。タイトルは「DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた新たな情報技術の採用について」です。

「DX」ですね。令和3年問1でも扱われました。こちら、ご参照ください。3年ぶり2回目ですね。

DXが世の中で言われ始めたのが、2018年(平成30年)の頃だったと記憶しています。経済産業省が「DXレポート」と銘打って「2025年の崖」問題とそれを克服する手段としてデジタルトランスフォーメーションという表現が使われました。バズワード化するかと思ったのですが、定着してきましたね。

ただ、タイトルをしっかり読むと、後半で「新たな情報技術の採用」について問われていることが分かります。

「DX」と「新技術採用の方法」のどちらのほうが、ウエイトが高いか考えながら本文を読んでいく必要がありますね。ここら辺は後ほど。

では、今回も先に設問ア~ウを見ていきましょう。

設問ア あなたが携わったDXの実現に向けた新たな情報技術の採用について、DXの狙い、施策の内容、検討対象となった新たな情報技術とその必要性を、事業特性とともに、800800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた新たな情報技術について、施策の実施に向けて、あなたはどのような机上確認と技術検証を行ったか、その結果や工夫したこととともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた情報技術を採用するに当たって、机上確認と技術検証を通して、あなたはどのようなリスクとその対策を具体化し、経営層にどのようなに説明したか、経営層からの指摘、指摘を受けて改善したこととともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

さて、今回も、本文を読む前に、論文の骨組み(プロット)は、設問ア~ウで導いてみましょう。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。

以下、です。

1.私が携わったDXの実現に向けた新情報技術の採用・・・設問ア(800字以内の指示に対して、750字を想定)

1.1.事業特性(250字)

1.2.DXの狙いと施策の内容(250字)

1.3.検討対象とした新情報技術と必要性(250字)

2.新情報技術の採用検討における机上確認と技術検証・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)

2.1.机上確認方法の概要と結果(400字)

2.2.技術検証方法の概要と結果(400字)

2.3.確認・検証の工夫点(400字)

3.机上確認と技術検証を通じて明らかになったリスクとその対策・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、800字)

3.1.リスクと来策の概要と経営層への説明方法(400字)

3.2.経営層からの指摘と改善(400字)

 

どうでしょう。おおよそのバランス、こんな感じではないでしょうか。ちょっと気になった点。

1.のところで、設問アでは「事業特性」というワードがラストに出てくるのですが、論文構成場は、トップに持ってきました。

2.のところで、「確認・検証の工夫点」を切り出して2.3にしていますが、これはモチロン、問い本文を読んだ後、机上確認/技術検証を肉付けできるようになれば、2.1と2.2に散らすほうがいいと思います。例えば、ですが、

2.1.机上確認方法の概要と結果

2.1.(1)確認方法A:概要(工夫点)と結果

2.1.(2)確認方法B:概要(工夫点)と結果

2.2.技術検証方法の概要と結果

2.2.(1)技術検証方法A:概要(工夫点)と結果

2.2.(2)技術検証方法B:概要(工夫点)と結果

としたほうがスマートかつ論文に厚み(確認方法に2個、技術検証に2個の具体的事例が入るから)が出ると思います。

 

というようなことを考えながら、問いの本文を読み込んでみましょう。

冒頭の第一段落。「企業は(略)DXを実現する。(その過程で)従来の情報技術では出来なかったことを実現するために、利用実績の乏しいAIやIoTなどの新たな情報技術の採用を検討することがある」と始まります。この後を見ると分かるのですが、本文中にDXとあるのはココだけです。これも後ほど。

第二段落がコア部分。「ITストラテジストは(略)机上確認と技術検証を行う。例えば、【①業務要件への適合性、②業界における規制への対応、③性能・拡張性・セキュリティなどの非機能要件への適合性、④情報技術の利用における継続性】について机上確認をする。その後、【①試験導入や②シミュレーションを行う】などの技術検証を行う。」と論じます。

第三段落で結びます。「机上確認と技術検証を通して、(略)リスクとその対策を具体化する。例えば、【①AI倫理などのコンプライアンスに関するリスク、②計画していた予算や体制などの経営リソースに影響を及ぼすリスク】を確認」と繋げて、ラストは、他の問題と同じく「経営層に説明→承認」と結びます。


以上、(略)の感じ、①②③の採番、【】などは私の対応です。

いかがでしょうか。他の問題に比べて、問い本文の分量が短めでしたね。その分、論旨は明快だと思います。

タイトル冒頭に、「デジタルトランスフォーメーション」とくるので、すわDXか!と思うのですが、問い本文を読むと、むしろ「新たな情報技術採用に関する机上確認と技術検証」の問題だと分かります。

ただし、設問ア、つまり論文構成の1の項(MAX800字)の部分では、あくまで「私が携わったDX」の案件を論じなければいけません。

ということは、やっぱりこの問題を解くには、

①DX案件の経験(もちろん、先行事例の聞きかじりでもOK) と、

②新技術採用のプロセスとして机上確認&技術検証の経験(同上)

が必要ということですね。また、新たな情報技術の例として、「AIやIoT」が挙げられているので、やっぱり世の中で新しめの技術を扱う事例が必要だと思います。いくら自分たちにとって新しい技術だからといって、「新たに、ホストコンピュータを使って、、」というのはちょっと違いますね。

以上、問い本文中にヒントは盛りだくさんで配置されているので、日頃からアンテナ高くして事例に触れておけば、取り組む価値のある問題かなと思った次第です。

 

では、次回、問い2を見て、どちらの問題を選ぶか考えてみましょう。