脳動静脈奇形でした。【脳ドック・診断・手術・完治】

健康

こんにちは、セイジュン@アラフィフ応援隊です。

脳動静脈奇形という病気、ご存知でしょうか。

脳の病気なのですが10年ほど前に「セイジュンさん、脳動静脈奇形です」とドクターに告げられました。

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脳ドックで異常見つかる!

以前の記事で、人間ドック・脳ドックの効用を書きました。

その際に「脳ドックで大きな病気が見つかりましたが、それはまた今度」と書きました。本記事がそれです。10年ほど前のことになりますが、当時の記憶と備忘録をもとに書いていきます。この記事を通じて、以下のポイントについて整理ができたらうれしいです。

・脳動静脈奇形はなぜマイナーな病気か
・早期発見・早期治療でほぼ治る。私は治りました
・早期発見は、脳ドック受診から始まる

さてさて。毎年受診するようにしていた人間ドックですが、40歳の受診時にオプションとして脳ドックを追加しました。

ちょうど星野源さんが、くも膜下出血と診断されたとの報道がされた頃です。
星野源さんや星野さんファンの方には申し訳ないのですが、若い方でもクモ膜下出血になることがあるのかという素朴な関心から、脳ドックをオプションとして選択したと記憶しています。

人間ドックと脳ドック当日。通常のドックに加えて MRI 検査を受診しました。

MRI とは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略語で、強力な磁石でできた筒の中に入って磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。

最近では医療ドラマなどにも登場しているので、ご存知の方も多いかと思います。

筒の中に入って、「ガンガンガン、ビー」という騒音に耐えながら、時間にして30分ほどで終了だったと思います。

さて、検査当日から数日。人間ドックを受診したクリニックに呼び出されて、問診を受けました。
その際に、ドクターから脳について再検査を促されました。

当時の手帳には「クリニック副院長より脳神経外科あての紹介状をいただく」とあります。

その数日後、都内の某大学病院の脳神経外科を受診しました。

後に主治医となるドクター F氏が、脳ドック受診時の MRI 映像を見て言われた言葉が

「セイジュンさん、脳動静脈奇形かもしれませんね」です。

脳動静脈奇形とは何か?

ここも、当時の備忘録から掘り起こしてみます。ドクターFいわく、

通常は、動脈(酸素と栄養を運ぶ赤い血を流す血管)は枝分かれをし、細くなった後に毛細血管となります。
毛細血管は直接、細胞( 脳では神経細胞も含めた脳細胞) に酸素と栄養を渡し二酸化炭素と老廃物を受け取って血液に戻します。
この血液を流す毛細血管が集まって静脈となり、心臓へ戻る仕組みになっています。
脳動静脈奇形の場合、脳の血管が形成されていく際の異常によって、 毛細血管が作られずに、動脈と静脈が直接繋がっています。
酸素と栄養の交換に関係がなく、本来細く広がることで分散される動脈の圧力が直接静脈系に加わり、少しずつ大きくなる(これを異常血管塊、ナイダスという)こともある病気です。

つまり、

通常の人:動脈ー毛細血管ー静脈
ワタクシ:動脈ー静脈

頼むよ~、毛細血管(涙)

で、このままだとどうなるの?という私の問いかけにドクター F は次のように答えました。ここも備忘録より抜粋します。

【脳動静脈奇形が及ぼす影響】
・脳内で動脈の圧を静脈が受けきれず、脳内出血・ くも膜下出血を発症する可能性がある
・脳動静脈奇形の発生確率は1万人分の、上記脳内出血を発症する確率は年間2~3%。
20代から40代が多い
・発症した場合、10%が致死的な症状となる懸念あり
残り90%についても、何らかの後遺症が残る可能性あり

なるほど。のちのち理解してきたのですが、冒頭のポイントの一つ目「脳動静脈奇形はなぜマイナーな病気か」の答えが、ここにあります。

つまり、もし万一の事態になった場合、病名(超不吉ですが死因)は脳内出血・くも膜下出血です。
元々発生確率が1万人分の1である以上に、ことがあった場合には結果的に他の病名で呼ばれることになるため、動静脈奇形がマイナーなのだと思います。

脳動静脈奇形、治療法を決めた。そして、詳細検査と手術へ

さてさて。某大学病院で、改めて MRI検査を実施しました。

結果、ついに脳動静脈奇形と診断されました。
合わせて脳内箇所等を詳細に把握するため、カテーテルによる脳血管造影検査を勧められ、承諾しました。ちなみに一泊の検査入院です。

今になって当時の手帳を見ると、検査入院のための検査などなど結構大変だったのだと感慨深く、またその大変さも時の経過とともに忘れちゃっているのですが、カテーテルによる脳血管造影検査はよく覚えています。

前日入院。
検査は、部分麻酔をした後、鼠径部からカテーテルを入れるところからスタートです。
カテーテルを脳まで持ち上げて、脳血管造影剤(要は液体)を発射します。

するとなんということでしょう。

造影剤があったかいので、脳内が、ふぁ~っと温泉気分になります。
と同時に、造影剤の流れに従って、脳内がイナズマまたは花火のように光ります。

全く痛みなし、ちょっと気持ちよかったと記憶しております。

治療方針の決定

脳動静脈奇形と診断、 また脳内のどこに位置するかまでを特定して、さてこれからどうするか、治療方針を決めます。

ドクター F からは、次の三つの提案を受けました。

開頭手術

全身麻酔の上、開頭。異常血管塊(ナイダス)部分を摘出する。術後1週間から10日で抜糸の上、退院。2週間程度の自宅療養・経過確認後、復帰。

メリット 根治率が非常に高い
デメリット 開頭手術につき、部位・大きさ等により一定のリスクはあり

放射線治療

ナイダス部分に放射線を当て、箇所を小さくする方法。治療自体は、数年かけて実施。

メリット 大きいナイダスを小さくする方法。発症箇所が脳内深部の場合、有効
デメリット 根治率は60%程度。放射線治療箇所がナイダス以外に及ぶリスクあり。放射線治療で箇所を小さくして、開頭手術を行うなど、組み合わせての治療法

カテーテルによる手術

鼠径部よりカテーテルを入れ、脳まで引き上げ。ナイダス部分を固める薬を入れることで箇所を小さくする手法。

メリット 大きいナイダスを小さくする手法。発症箇所が脳内深部の場合、有効。また手術と異なり身体的傷がつかない
デメリット 根治率は60%程度

現在の医学では、どの治療法が一般的なのかはわかりません。また個人差によって治療方法も異なると思います。

10年前当時ドクター F のアドバイスは、次の通りでした。

【現状及び治療方針案】
脳動静脈奇形について、他の病気と同様、グレードによって症状の重さ、対応方法の難易度を1~5で表現する。 数字が大きくなるごとに症状が重くなる。判断の軸は3点。
1.ナイダスの大きさ
2.ナイダスの場所が深いか浅いか
3.神経系箇所の近くにあるか否か
今回の場合、大きさは1.1センチ。脳表層部。右前頭葉で神経系箇所からは遠いことから、グレード1と判断される。

ドクター F としても
1.年齢も若く、治療を行い根治させるという積極的な考え方を推奨
2.グレード1であり開頭手術での対応を推奨
3.最終的な判断・決定はモチロン患者自身。様子を見るセカンドオピニオンを求めるのもOK

こんな風に説明されたとか記憶しています。

セイジュンさんが七十歳だったら手術は勧めません。いつ発症するか分からない、あるいは発症しないかもしれないクモ膜下や脳出血のために、老人が手術を勧めるのは合理的ではないからです。他方セイジュンさんの場合は40代と若く、手術による根治という積極的治療が合理的です

一応、家族会議(両親と妻と私)を開きましたが、私自身は手術しちゃおうと思っておりました。

その後はスケジュール調整。
そもそも今日の明日、手術を受けなければいけないという至急性はなく、この時点で人間ドックから数ヶ月経過しておりましたので、病院やドクターFのオペスケジュールと私の業務の繁忙を考えて2ヶ月後のある日が Xデーとなりました。

手術当日から術後入院。術後すぐはミカン星人

手術前日入院。

ドクター X から夜に最終ブリーフィングを受けました。家族全員で聞いたと記憶しています。

前日から絶食。手術当日は7時起き。手術は9時過ぎからスタート。

私自身は、全身麻酔を打った直後から全く記憶がなくなるので、目が覚めた時には手術が終わっておりました。

家族の話では、手術時間は11時間。

当然ながらもう夜になっており、その日は集中治療室でステイ。翌朝から入院病棟に戻りました。

当初1~2日、かなり辛かったです。何しろ言葉が出ませんでした。

このまま頭パーになっちゃうのかな~と悲観的になったのを覚えています。

付き添いの妻も、なんとなくションボリしていました。

後日談ですが、頭の腫れた私をミカン星人みたいだと思っていたそうです。

こんな感じ。

当時 Windowsのスクリーンセーバーにあった絵柄で、ウゴウゴルーガに出てたとか。

3日も経てば、体も頭も戻ってまいります。10日で抜糸、14日目で退院。

退院前日には、病院内の床屋に行き、施術箇所のみバリカンを当てられていた髪を整髪していただきました。おそらく人生初の坊主頭です。

その後自宅で静養。

妻は仕事をしていたので、朝から夕方まで一人でのんびりしていました。

手術から20日後には再度問診。ドクターからも OK と言われ会社復帰となりました。

その後も3か月周期で問診。

ドクター F からは「完治ですね」と言っていただきました。

以降は年に1回 MRI 検査を受けています。

現代の医学は、当時の治療法とは異なるかもしれません。また、個々人の症状によって治療法を変える必要もあるかもしれません。ただ積極的に治療して良かったと個人的には思っています。

本記事のメッセージを最後に。
・まずは、多くの方が脳ドックを受けてほしいということ。
・もし、私と同じように脳動静脈奇形に罹られている方、きっと治りますよ!頑張りましょう!

では、またです。