午後Ⅱ対策:実際の問題を解く!(令和6年春問2)

ITストラテジスト
セイジュン
セイジュン

ITストラテジスト試験午後Ⅱ(論文)対策、2024年(令和6年)の問題を題材に論文の骨格(プロット)を作成していっています。今回は問2です。タイトルは「新しいビジネスモデルについて」です。

 

こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。本番の試験問題を参照しながら論文の骨格(プロット)を作っていく試み、令和2年(2020年)分からずっとやってきましたが、今回が2025年時点ではラストの過去問です。

論文の解法については、こちら午後Ⅱ対策でまとめました。過去問:令和6年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題、こちらIPAサイトから引用しております。原典も是非ご参照下さい。

論文対策は書く事、そしてそれを他者に採点してもらう事がポイント。一番良いのは、模試か通信教育の受講です。2025年度版の模試・通信教育情報、こちらの記事でまとめました。併せて是非!
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令和6年春試験:ITストラテジスト区分の午後Ⅱ問題(問2)

2024年(R6)の問2です。タイトルは「新しいビジネスモデルについて」です。

ビジネスモデル。ひとまず、簡単に「企業が収益を上げるための仕組み」とでも定義づけしみましょうか。このタイトルだけを見ると、かなり情報処理技術者から遠くに来ちゃったなぁと感じますね。逆に言えば、ITストラテジスト(以下、ITS)は我々が思っているよりも経営よりの目線が必要なのでしょうね(少なくともIPAはそう思っているのでしょう)。

今までずっと問い本文を読む前に、設問ア~ウを基に論文の骨格(プロット)を作ってきました。が、今回はタイトルの「ビジネスモデル」をどうITSのミッションとどう絡めていくかを見ていきたいので、先に問い本文を見ていきましょう。(こちらIPAサイトでR6午後Ⅱ・問2をご確認)

全体で4段落。ちなみに問1は3段落でした。本文の分量もこちら問2のほうが多いですね。まずは第一段落、過去の問題でもあるパターンです、「ITSは」としてミッションを定義します。いわく「ITSは、事業部門とともに事業戦略に基づき、新しいビジネスモデルを策定することが求められている」。そうなのか!

シラバスの2項目目に「ITによるビジネスモデルの策定」とありました(ちなみに1項目は「経営戦略に基づくITを活用した事業戦略の策定」です。「ITストラテジスト シラバス」で検索できます。23年12月が最新で、Ver4.2です。)。

シラバスにある「ITによる」という枕詞があるとスッと履いて来ますが、いきなり「ITSは、ビジネスモデルを策定することが求められる」とくるとちょっとギョッとしますね。これは「事業部門とともに事業戦略に基づき」というところがミソですね。あるいは言外に「ITに関わる部分を主として」といったニュアンスがあると理解するといいのかな。さて、先を急ぎましょう。

第2段落。「新しいビジネスモデルの策定では(略)製品・サービス・収益の獲得方法を定義する必要がある」と繋げたうえで、「ITSは(略)ITで以下のことを実現できないか検討する」と来ます。やっと「IT」が出てきました。そして、「次のこと」が箇条書きで続きます。いずれも「IT」とあるように、手段としてのITが冒頭につきます。

・ITで、顧客接点や魅力的な顧客体験の実現

・ITで、製品・サービスの新たな価値の提供

・ITで、低コストなオペレーションの実現で収益への貢献

第3段落。ここから具体例に入ります。和服メーカが、健康情報捕捉のサブスク型のビジネスモデルを企画し、そこにIoTとクラウドを活用するというもの。ちなみに和服メーカと健康捕捉には、導電繊維を織り込んだ衣類を着るだけで体温・心拍数を収集できるという技術で繋がっているという訳です。なるほど。

第4段落。話変わって、ビジネスモデルを事業化する際の「環境変化」について触れています。環境変化によってIT要件が当初の想定より乖離することがあること。そのような乖離を想定して、拡張・縮退可能なITの採用、段階的な立ち上げなどを検討し、ITの投資費用と共に次号部門へ提案する必要がある、と結びます。

続いて、設問を見てみましょう。

設問ア あなたが携わった新しいビジネスモデルの策定について、背景にある事業概要と事業戦略を、事業特性とともに800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた事業戦略に基づき、あなたはどのような新しいビジネスモデルを策定したか。顧客、提供価値とそれを具体化する製品やサービス、収益の獲得方法、ITで新たに実現したことを、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた新しいビジネスモデルが事業化される際の、あなたが想定した、当初の要件との乖離は何か、提案した内容と事業部部門の評価、事業部門の評価を受けて改善したこととともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

問い本文とのマッピングを確認しましょう。第1段落が設問ア。第2・3段落が設問イ。第4段落が設問ウ。見事にマッピングしています。問い本文の分量(文字数)と、記述を求められる文字数・ボリュームも一致していることが分かりますね。

設問ア、イ、ウのそれぞれについても簡単に触れておくと、

設問ア、よく読みましょう。「ビジネスモデル」を書いてはいけません。あくまで「事業概要と事業戦略」を「事業特性とともに」書きましょう。この「事業特性とともに」というのも近年のITストラテジスト論文、設問アの定番ですね。ちなみに問1も同じでしたね。

設問イ。本文の第2,3段落とのマッピングから、特に第3段落の具体例を意識してまとめましょう。顧客、提供価値、製品・サービス、収益獲得方法、ITの活用を具体的に書けるかがポイントでしょうか。もうひとつ。もともとの事業概要と新たなビジネスモデルが、あまりにも距離が遠いと破綻します。問いの本文の、「和服メーカ → 導電繊維を織り込んだ衣類 → 体温・心拍数の捕捉 → ヘルスケア・サービスのサブスク」ぐらいがギリかなあ。「風が吹けば桶屋が儲かる」の例を、普段から新聞・雑誌等々から拾っておきたいですね。「材料の端切れを使って」とか「食料加工時の廃棄物を」などが浮かぶといいですね。

設問ウ。「当初の要件との乖離」をまとめる必要がありますが、問い本文中のヒントは「顧客数・業務量・アクセス数・データ量などのIT要件」ですね。「要件」とは「IT要件」だと考えて、自分(=ITストラテジスト)の土俵で整理していきましょう。

では、ざっと論文の骨格を形づくると。

1.私が携わった新しいビジネスモデルの策定の背景・・・設問ア(800字以内の指示に対して、750字を想定)

1.1.事業概要(250字)

1.2.事業戦略(250字)

1.3.事業特性(250字)

2.策定したビジネスモデルの概要・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)

2.1.想定顧客と提供価値(400字)

2.2.サービスの概要と収益モデル(400字)

2.3.ITの活用(400字)

3.IT要件に関する想定と乖離・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、800字)

3.1.乖離に対する提案(400字)

3.2.事業部門の評価と改善(400字)

 

以上です。いかがでしょうか。

「新しいビジネスモデルの策定」と大きく振りかぶったタイトルでしたが、分解してみるとなんとか太刀打ちできそうな問題に見えてきましたね。

あとは、実際の「事業概要と新しいビジネスモデル」の例が浮かぶかです。ポイントは「あまり大ボラにしない」ですね。今回の問い本文の中でも、「和服メーカが」となっていますが、ここを「腕時計メーカが」ってなるとちょっと大きくなり過ぎな気がします。いかに中堅・中小企業の既存事業に基盤にして、スモールビジネスの分野で新たなモデルを開発できるかというのがポイントだと思います。

 

今回は以上です。これで2025年(令和7年)春試験前の過去問練習は一旦終了です。次記事では過去6年分の過去問を一覧してみます。