く:グリコ・森永事件【ぐりこ・もりながじけん】

80年代
セイジュン
セイジュン

グリコ・森永事件。

本当に不思議な事件でした。一般消費者になじみのあるお菓子メーカを舞台に、「かいじん21面相」などというネーミング、マスコミへの挑戦状など。「劇場型犯罪」の走りということですよね。

 

事件の発端は、1984年3月18日。

江崎グリコ社長の自宅に押し入って、社長を拉致した事から始まります。

3日後の21日、社長は保護されるのですが、4月以降、マスコミへ「かいじん21面相」と名乗る人物から「挑戦状」が送られたことにより、一気に社会一般を騒ぎに巻き込んだ大事件となります。

 執拗な挑戦状

 子供の声による音声テープ

 複数のお菓子・食品メーカへと拡大する不安

 青酸入り菓子のばら撒き事件

 あと一歩で逮捕だったと言われる警察との接触

 そして、キツネ目の男

 

どれをとっても、現実の事件というより、小説か映画のようでした。

 

1985年8月12日。

犯人グループからと思われるもお やめや」の収束宣言が送りつけられ、結局、未解決のまま2000年2月に時効を迎えることになりました。

 

関連本が多数出ておりますが、ノンフィクションで読んでおもしろかったのが、以下、2冊。

 

「グリコ・森永事件 (新風舎文庫)」
「グリコ・森永事件―最重要参考人M (幻冬舎アウトロー文庫)」

 

新風舎文庫のほうが、朝日新聞大阪社会部。幻冬舎アウトロー文庫のほうは、「キツネ目の男」と疑われた宮崎学と疑った本人の大谷昭宏の共著。

そして、小説では、もうダントツ「罪の声」。

まさに実際の事件はこうだったのか、犯人は彼らだったのか!と思わせてくれます。絶品です。未読の方はゼヒ。

塩田 武士

 

さて、完全なる余談。

1984年、85年とはどんな時代だったのか。歌は世につれ世は歌に。

1984年3月18日の事件発生から4日後、3月22日。「ザ・ベストテン」のチャートです。

第1位 Rock'n Rouge 松田聖子
第2位 星空のディスタンス アルフィー
第3位 涙のリクエスト チェッカーズ
第4位 ワインレッドの心 安全地帯
第5位 一番野郎 近藤真彦
第6位 チャールストンにはまだ早い 田原俊彦
第7位 もしも明日が わらべ
第8位 北ウイング 中森明菜
第9位 ト・レ・モ・ロ 柏原芳恵
第10位 微風のメロディー 河合奈保子

そして、1985年8月12日、終息宣言の3日後の8月15日。「ザ・ベストテン」のチャートです。

第1位 俺たちのロカビリーナイト チェッカーズ
第2位 悲しみにさよなら 安全地帯
第3位 SAND BEIGE ~砂漠へ~ 中森明菜
第4位 夏ざかりほの字組 Toshi&Naoko
第5位 ByeByeMyLove サザンオールスターズ
第6位 あなたを・もっと・知りたくて 薬師丸ひろ子
第7位 翼の折れたエンジェル 中村あゆみ
第8位 サイレンスがいっぱい 杉山清貴&オメガトライブ
第9位 魔女 小泉今日子
第10位 シャイニン・オン君が哀しい LOOK
本日はこのへんで。次回、80年代あいうえお辞典は、「け」の項でお会いしましょう。